■「海江田降ろし」虎視眈々
<通常国会が開会したことを受け、民主党の各グループは30日、会合を再開した。前原誠司前国家戦略担当相の「凌雲会」は勢力拡大を模索し、早速、参院議員1人が新たに加わった。
細野豪志前幹事長の「自誓会」(細野派)は4月の設立パーティーに向け、足場固めを急ぐ。海江田万里代表は今夏までに党再建ができなかった場合の辞任を示唆。非主流派は「海江田降ろし」をにらみ、虎視眈々(たんたん)と海江田氏の出方を見極めようとしている。(産経・楠城泰介)
「改革政党という出自を忘れず、政権に対する意欲と能力を磨いて、党再建に向けて頑張ろう」
海江田氏と距離を置く前原氏はグループ会合で、げきを飛ばした。みんなの党の分裂など野党再編に向けた動きがわき起こるなか、最近の前原氏の動きは実に活発だ。
24日には、結いの党の江田憲司代表と会談し、野党間の連携を独自に模索。日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)とは「今でも定期的に連絡を取り合っている」(前原氏周辺)という。
自らの存在感を高めるため、グループ拡大にも余念がない。菅直人元首相のグループなどにも触手を伸ばしているとされる。
前原氏は1月4日、都内で記者団に、海江田氏について「言うべきことは言って、協力していきたい」と語っている。だが、額面通りに受け取る向きは少ない。実際、凌雲会には党代表交代論がくすぶる。
海江田氏が参院選後の昨年7月、両院議員総会で「1年後までに目に見える形で結果が出ていなければ党を代表する立場をお願いすることはない」と語ったためで、ある凌雲会メンバーは「来年春の統一地方選を海江田代表で迎えるわけにはいかない。今年の夏は代表選だ。海江田氏が辞任しなければ離党する」と鼻息は荒い。
代表選に向け、グループ議員の争奪戦を繰り広げた細野氏との間で、密約説も浮上している。前原氏が次期代表選に出る場合には細野氏は出馬せず、支援に回るというものだ。細野氏周辺は「焦る必要はない。前原氏が先にやってもよい。割れるのはよくない」と語る。
当の細野氏は派閥会合で「設立パーティーにはなるべくたくさんの人に来てもらえるように声をかけよう」と挨拶した。現在、パーティーで披露する予定の目指すべき国家や社会について文案を練っている。
一方、攻勢を受ける海江田氏も凌雲会に所属する渡辺周衆院議員を幹事長代行に任命するなど、非主流派の取り込みに懸命だ。昨年12月24日の記者会見では、自らがいう「目に見える結果」について「(2月9日の)党大会でみんなが一体感をもって『さあ行こう』となるかどうかが一つの目安だ」と語った。
だが、今夏をもって辞任する気はすでにないようで、昨年12月14日の全国幹事長会議では「統一選に向けてまっしぐらに歩みを進めていかなければならない。統一選は民主党全体の総掛かりの選挙だ」と宣言。自ら陣頭指揮を執る構えをみせた。その海江田氏を支えるのは大畠章宏幹事長率いる「素交会」だ。
海江田氏は、前原氏や野田佳彦前首相ら与党時代に野田政権を支えたベテランぞろいの旧主流派6人衆の動向も気にしている。
通常国会では、集団的自衛権の行使容認などに意欲を示す安倍晋三首相に対抗し、リベラル色を前面に出し、「戦う姿勢をみせることで求心力を高めていく」(党執行部)方針だ。
6人衆の中には、リベラル志向に反発する声があり、予断は許さない。(産経)>
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