■衆院予算委 非難合戦が過熱
<31日スタートした衆院予算委員会の論戦で、民主党は長妻昭元厚生労働相、岡田克也前副総理ら4人の閣僚経験者を繰り出し、安倍晋三首相の経済政策や外交、憲法観を中心に攻め立てた。首相は経済指標を好転させた実績を振りかざして反論するだけでなく、民主党政権をこき下ろす発言を繰り返し、双方の非難合戦が過熱した。
トップバッターの長妻氏は、首相の経済政策「アベノミクス」の恩恵が大企業などにとどまっていると指摘し、「企業や富裕層を豊かにして果実が滴り落ちるという政策が成功した国は聞いたことがない」と断じた。
これに対し、首相は「私たちの政策は間違いなく成果を上げている。税収は50兆円を超え、プライマリーバランス(基礎的財政収支)は7兆円改善した」と強調。「皆さんが3年間政権を担当し、デフレ脱却は見事にできなかった。なぜ一昨年(の衆院選で)大敗したのか全然考えてこなかったのか」と逆襲した。
長妻氏は、自民党が憲法改正案で基本的人権を永久不可侵の権利と定めた97条を削除した点を取り上げ、「国民を縛るのが憲法と言わんばかりの改正案だ」と批判。首相は「デマゴーグ(民衆扇動家)だ。不毛なレッテル貼りはやめるべきだ」と色をなして反論した。
外交では、首相の歴史認識をめぐる韓国との関係悪化を岡田氏が追及。首相は「植民地支配を否定したことはない」とかわす一方、「民主党政権で韓国の(李明博前)大統領が竹島に上陸したのは遺憾だった」と当てこすった。
環太平洋連携協定(TPP)交渉推進と自民党の選挙公約の整合性をただした古川元久元国家戦略担当相に対しても、首相は「私たちは参院選で勝ち、民意を得た。民主党は(賛否が)割れ、何も結果を出していない」と挑発した。
首相を追及しても、政権担当時の失敗を蒸し返されるばかりで議論は一向に深まらず、たまりかねた原口一博元総務相は「物言えば唇寒し。民主党時代はどうだった、古い自民党時代はどうだったと足を引っ張るのはやめよう」と嘆いた。
高い内閣支持率を背景に居丈高さが目に付く首相の態度に、民主党幹部は「調子に乗っていると、そのうちしっぺ返しが来る」と悔しさを押し殺した。(時事)>
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