中国経済の減速傾向が明らかになるにつれ、3年連続で2桁の伸びを示している軍事費がこれまで通り維持できるかが焦点となる。
中国の二〇一三年度国防予算は前年実績比10.7%増の7406億2200万元(約11兆1100億円)。実際の軍事費は公表金額を大きく上回るとも言われ、透明性を欠いている。
スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所が公表した各国の軍事費はドル・ベースで①米国の6820億ドル(約67兆円)②中国の1660億ドル(約16兆円)③ロシア907億ドル(約8.9兆円)④英国の600億ドル(5.9兆円)⑤日本の600億ドル(5.9兆円)。
ただ軍事費総額で軍事力を比較するのは正確ではない。たとえば英国と日本はほぼ同額だが、英国は1960年代には30万人規模の英国軍だったのが、人員を削減して現在は三分の一の10万人。
対する日本は1960年代の27万人規模がほとんど変わらない。徴兵制をとらない自由主義国家だから人件費が軍事費に占める比率が高い。自衛隊の一人当たりの人件費は、中国軍の一〇倍という推定値もある。
英国国際戦略研究所の『2013年ミリタリーバランス』では、中国軍(人民解放軍)の人員数は、現役兵は228万5千人、予備役51万人と推定されている。
また中国国務院は『中国国防白書:中国の武装力の多様な運用』を2013年に発表してが、陸軍機動作戦部隊が85万人、海軍23万5千人、空軍39万8千人、人民武装警察(武警)が66万人とする兵員数の概要を公表した。
徴兵制をとる中国だが、2000年当時と比較すると現役兵は2万5千人減となっている。海軍力の増強など中国軍のハイテク・近代化のために人件費の削減をしたのではないか。しかし、これ以上の兵力削減は軍部の抵抗に遭うのであろう。
GDP比でみると中国は2・0%、日本は1・0%。その面でも中国軍の近代化投資が突出している。ただ軍の近代化には相応の技術力が必要だが、その点では日本がまだ優位を保っている。少なくとも潜水艦やイージスシステムを装備するイージス艦の能力では中国海軍を凌駕している。
問題は中国経済の減速傾向が強まり、バブル経済がはじけることにでもなれば、これまでの様な中国軍の近代化投資、ハイテク化を継続・維持することが困難視される。中国軍はその岐路に立たされている。
平和憲法で外征軍を持たない日本だから、自衛隊の人員を思い切って削減し、ハイテク化された自衛隊を目指す時期に来ている。無人偵察機の導入に躊躇すべきではない。
そのうえで国土防衛のためにミサイル部隊を強化、配置し、”針ねずみ”のような防衛網を構築する方が先決ではないか。
杜父魚文庫
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