■軍事介入に踏み切れない中国は「リビアの二の舞」を怖れ始めた
中国は南スーダンに特使を派遣した。
特使は仲建華(中国外交部アフリカ専門家、南ア大使を歴任し、ダボス会議でも演説する大物でフレッチャースクール卒業)だが、成果はまったくあがらなかった。
特使は内戦の仲裁、停戦の呼びかけを行った。先週、エチオピアを訪問した王毅外相も、一日も早い停戦と和平の実現を訴えた。南スーダンはスーダンから分離独立したが、石油鉱区は、この南側にあり、利権をめぐって南スーダンのなかで部族対立がおきた。
中国がなにゆえにスーダン問題にこれほど深入りするか?
原油である。死活問題である。南スーダンの石油鉱区からスーダンの輸出港まで1000キロものパイプラインを中国が敷設して、日量14万バーレルの原油を輸入しているからである。
この量は、内戦前は20万バーレルあったから激減している。南スーダンの内戦が影響していることは明らかで、しかも中国への輸出量はスーダンの全石油生産の80%に相当し、外貨の稼ぎ頭だからスーダン政府にとっても死活問題である。
中国はリビアのカダフィ独裁政権に梃子入れし、政変直後には3万6000人の労働者がかろうじてリビアから脱出した。カダフィ一族はいなくなった。
その二の舞はごめんだという心理状態はよく理解できる。
だがいくら中国がリップ・サービスをもってしても、軍事的コミットでもなければ、和平実現はありえず、イラク、イランへ介入して逆効果となった米軍の真似もしたくないという複雑で屈折したシチュエーションにある。
おりしも中国語の新聞を読んでいたら、旧正月を祝って習近平は空母「遼寧」に試乗し、「戦争の準備はできたか」と号令をかけたそうな。ひょっとしてこの空母、スーダン沖へもっていくつもりなのか?
杜父魚文庫
コメント