■インドはハイダラバード出身のネデラ氏がマイクロソフトの新CEO、日本が援助する技術大学はハイドラバード、地元は大歓迎、歓呼の嵐
安倍首相のインド訪問は大歓迎を受けた。インド共和国式典に毎年ひとりだけ招待される国賓に、今回は安倍首相が選ばれたのだ。
ちょうどインドにいた筆者は、インドのメディアが連日、日本賛歌の嵐のような報道ぶりを目撃してきた。テレビはトップニュースだった。
昨秋にも天皇皇后両陛下がインドを訪問されたばかりである。インドに於いて安倍首相は多数のプロジェクトへの支援を表明した、
とくに北東部のインフラ開発は、インドと中国の領土係争地をふくむ地域であり、中国が驚き、かつ警戒する。
これは北京から看れば挑発的にみえるだろう。
じつはもうひとつ画期的なプロジェクトがある。
日本の援助プログラムの中に、ハイダラバードに日本のJICAが支援して技術大学が創設され、東京大学が設計の段階から全面協力するのだ。
いうまでのなくハイダラバードは、高原都市のバンガロールと並んでインドのハイテク工業団地、IT産業のメッカ、世界のハイテク企業が勢揃いする場所であり、もちろん、日本の企業も相当数が進出している。
そのハイダラバードへも行った。チェンナイから飛行機で一時間チョット。デリーからだと二時間半ほどかかる。
現在のインドはテロを警戒しているため国内線もチェックインは二時間前から、荷物検査にくわえて厳重な身体検査、チケット、手荷物にまでセキュリティ検査のスタンプが必要なので、余計な時間がかかる。
さてハイダラバードのホテルへ入って市内見物に出かけたが、筆者が驚いたのは、酒が飲めないこと(爆笑)。タバコも全てのレストランで禁煙である。分煙席さえない。
学園都市と隣接してハイテクセンターが完成していた。ハイダラバードのIT新都心では、若者達が恰もシリコンバレーのような、伸び伸びした環境の中で日夜次の技術開発にしのぎを削っていた。付近には高層マンション群がにょきにょきと建っている。
▼ネデラ新CEOはまだ、47歳の若さ
このハイデダバードで生まれたインド人が、世界一のコンピュータソフト企業「マイクロソフト」の新CEO(最高経営責任者)になった。日本の新聞もちょっとだけ伝えたが、インドはお祭り騒ぎである。
インド人で全米有数の企業トップになったインド人はほかに二人しかいない。ペプシコのインドラ・ノオイとマスターカードのアジャイ・バンガだけである。
新CEOのサトヤ・ナデラはまだ47歳。ハイダラバードの高校を卒業し、渡米、ウィスコンシン大学で学位(コンピュータ科学)、シカゴ大学でMBA,オラクルとサンマイクロシステムを経て、92年にビル・ゲーツのもとに駆けつけ、おもにベンチャー部門、クラウド開発の責任者としてビル・ゲーツの信任篤く、就業から二十二年を経て、ついにトップとなる。
ナデラの昨年の年収は推定8億円(本給、ボーナスの他、株式オプションを含む)。とくにシアトル時代は週末に飛行機でシカゴへ通い、優秀な成績でMBAと取得したことは語り草になっているという。
マイクロソフトといえば、「ウィンドーズ」「ワード」「エクセル」、そして「アウトルック・エクスプレス」など、すでに常識的用語となっている。
しかしマイクロソフトは好敵手アップルにスマートフォンで大差を付けられ、またクラウド開発に遅れたため、ゲーツは顧問に退き、新しい社長をむかえようと外部に打診してきた形跡がある。かつてステーヴ・ジョブを退任させ、外部からCEOをもってきたアップルのように。
『ザ・タイムズ・オブ・ インディア』(2月5日)によれば、フォードのアラン・ミュラリィ、ノキアのステファン・イーロップ、グーグルのサンダー・ピチャイ、モトローラのサンジャイ・ジャなどが候補にあがっていたが、けっきょくマイクロソフト社内からクラウド事業に明るく、次の世代ハイテク製品をスピーディに開発できるチームを纏める能力が高いとしてネダラに決まった。
なおクラウドとは、インターネットを基盤としたコンピュータ資源の利用形態で、ユーザー側は、コンピュータによる処理やデータの格納をネットワーク経由で利用し、その度に料金を支払う。
これからのコンピュータ企業の中核を形成するビジネスになるとされる。
杜父魚文庫
15414 マイクロソフトの新CEO インドのネデラ氏 宮崎正弘
![](https://azaban.com/wp4/wp-content/themes/cocoon-master/screenshot.jpg)
コメント