<9日投開票された東京都知事選で、民主党内には、原発問題を争点に掲げた細川護熙元首相と、細川氏を支援した小泉元首相の「細川・小泉」連合に期待する向きもあった。
首相経験者で知名度もある2人が「原発ゼロ」を訴えて支持を集めれば、野党の「核」として、自民党に対抗する野党勢力の結集を図ることも可能――という目算だったが、細川氏への支持は広がらなかった。野党再編の道のりは険しそうだ。
◆「勝てる候補」
民主党は、都知事選の告示直前まで「勝てる候補」を探し、元厚生労働相の舛添要一氏と、細川氏の2人のどちらを支援するかで迷っていた。党都連会長でもある松原仁国会対策委員長は、一時、舛添氏支援を検討していることを表明したが、細川氏が出馬の意向を表明すると、細川氏に乗り換えることを決めた。
松原氏や周辺は、2005年衆院選で郵政民営化を掲げ、自民党を圧勝させた「小泉旋風」の再来を期待した。
ただ、民主党の支持団体の連合東京が舛添氏支援に回るなど、細川氏への支援態勢は万全ではなかった。細川氏は9日夜、「一緒に戦った志を同じくする方と広く連携し、脱原発の活動を次の世代につなげていくつもりだ」と語り、活動を続ける考えを示した。
◆中心の3氏
民主党の海江田代表は9日の党大会で「多くの野党が乱立する中、民主党こそ野党勢力の中心に立たなければならない」とあいさつし、野党第1党として政府・与党と対峙たいじしていく考えを強調した。
もっとも、高い支持率を維持する安倍内閣を民主党が追い込むのは容易ではないとの見方もある。執行部は党主導で野党を結集したい考えだが、「もはや民主党の名前で政界再編を起こすのは難しい」(中堅)という議員もいる。
民主党を軸としない再編論の中心にいるのは、同党の細野豪志前幹事長、日本維新の会の松野頼久幹事長代行、結いの党の江田代表の3氏だ。3氏は昨年12月に政策に関する勉強会「既得権益を打破する会」をつくり、再編論議を始めている。中でも江田氏は積極的で、〈1〉春~夏に維新の会と合流〈2〉年内に細野氏が民主党の一部を率いて、さらに合流――との構想を描いているとされる。
しかし、維新の会の橋下共同代表(大阪市長)は当面、「大阪都構想」を掲げた出直し市長選に注力せざるを得ず、同党内では、橋下氏の国政への発言力が弱まり、結いの党と距離を置く石原共同代表が力を持つとの見方がある。民主党参院議員会長を務めた輿石東参院副議長は、細野氏を「将来の代表に」とかわいがってきた。細野氏が党を割って出るのは難しいとの声もある。みんなの党は安倍内閣に接近しており、野党再編論には距離を置いている。(読売)>
杜父魚文庫
15455 小泉旋風不発、しぼむ野党再編機運 古沢襄

コメント