<【ジュネーブ/スイス 2月10日 AFP】スイスで9日、欧州連合(EU)からの移民数制限の是非を問う国民投票が行われ、制限への賛成票が僅差で反対票を上回った。これにより、経済分野も含めてスイスが1999年にEUと結んだ合意の数々が崩壊する可能性がでてきた。
最終投票結果によると、「大量移民の阻止」を掲げて右派政党が提案した移民制限への賛成票は50.3%。結果をうけ、国民投票運動を率先してきた右派「スイス国民党(Swiss People’s Party、SVP)」のトニー・ブルンナー(Toni Brunner)党首は「移民政策の転換点となる」と述べた。
国民党は、EU市民のスイス移住が自由化された後、年間8000人と予測されていた移民数は実際のところ毎年8万人に上っており、人口800万弱のスイスはすぐにでも移民の抑制措置に臨まねばならない主張している。
一方、複数政党から選出された7人で構成される連邦参事会(Federal Council、内閣に相当)には国民党閣僚も1人いるが、スイス経済に打撃となるうえEU交渉パートナーとしての信頼を損なうとして移民規制には反対していた。
今回の国民投票結果をうけ、連邦参事会は「国民の意思決定を遂行するために必要な取り組みを、速やかに始める」との声明を発表した。
2007年以降、ほとんどのEU市民にスイスでの就労が認められてきたが、新たな移民制限の導入が決まったことで、スイス政府は同国労働市場への自由アクセスについて3年以内にEUと再交渉する必要が出てきた。(AFP)>
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