東京都知事選も舛添要一候補の大勝で終わりました。ではなぜ舛添氏が勝ったのか。ワシントンでも映るNHKのテレビ報道を観ていて、首をかしげてしまいました。
選挙の分析に出てきたアダチ記者は、舛添候補の勝因として一言、「組織力」だと述べたのです。反原発への有権者の反発や冷淡は一言も述べず、むしろ反原発の動きはこれで排されたわけではない、というのです。
アメリカではこの種のゆがんだ解釈をスピン(ひねり、ねじり)と呼びます。自分の都合のよいように、曲げてしまうことです。
細川候補がただただ反原発を唱えて、この選挙にのぞんだことは周知の事実です。都政よりもなによりも、原発をゼロにすることのアピールに終始したわけです。
共産党が支持した宇都宮候補も同様です。激しい原発破棄論者です。しかし都民の多数派は明らかにこの反原発の主張に背を向けたわけです。
脱原発の笛の音に踊らなかったのです。この事実こそ、今回の選挙の最大特徴であり、舛添候補の最大の勝因だったといえましょう。東京都知事選が各政党の組織票だけで、決まらないことはすでに例証ずみです。
しかしNHKのアダチ記者は舛添候補の勝因は「組織力」だけだと宣言したのです。
しかも反原発を唱えた細川候補と宇都宮候補の両方の得票数を合わせれば、全体の投票の4割ほどになるから、「反原発が排されたわけではない」ともいうのです。
表現を変えてみましょう。細川、宇都宮両候補の合計得票、つまり反原発候補2人の合計票を合わせても、原発容認の舛添候補1人の得票数には及ばないのです。反原発候補の大敗の方が大きな特徴ですね。
NHKがこうしたゆがんだ分析をするのも、自分たちが反原発の主張をしてきたからでしょう。自分たちの主張が排されたことは認めたくないのでしょう。これが客観報道なのでしょうか。公正中立の分析なのでしょうか。
杜父魚文庫
15464 NHKのゆがんだ都知事選分析 古森義久

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