■「雪が、審判が、手首が・・」 米ウォール・ストリート・ジャーナル
<【ソチ(ロシア)】ソチではここ数日間、米国チームにとって厳しい日が続いた。米国を代表するチームは過去2回の五輪でどの国より多くのメダルを獲得してきたが、スキーレース、モーグル、クロスカントリーのスプリント、それにアイスホッケーなどで敗れている。
米国チームは雪上競技でも氷上競技でも敗れた。スキー、スケート、スノーボードのいずれの競技でも敗れたのだ。これにより、米国はメダルレースで大きく後れをとってしまった。ノルウェーやオランダなどが米国が取るはずだったメダルをかすめ取っている。まるで彼らの好物である酢漬けのニシンにかぶりつく時のようにいとも簡単だ。
しかし米国チームは、表彰台に上る回数が少ないにもかかわらず、別の分野で好調を維持している。それは選手や関係者による言い訳の数だ。
雪が解けている、審判が悪い、審判の判定に納得がいかない、手首の調子が悪い―といった言い訳だ。
確かに、これらの言い訳の中には全く正当なものもある。スキージャンプの世界女王であるサラ・ヘンドリクソン選手はソチで21位に終わったが、昨年8月に前十字靱帯(じんたい)再建術(ACL)を受けた。彼女は事実上、1本の足で戦ったようなものだった。メダルを逃したのはやむを得ないだろう。
言い訳の中には、もっともらしく聞こえるが、検証が少し困難なものもある。スキー男子滑降のボード・ミラー選手は8位に終わった理由の一つとして、過去1年間、近視矯正のレーシック手術を受けられなかったことを挙げ、前方が見にくかったと述べた。もやがかかっていた日だったこともあるという。
興味をそそるほどにいわくありげな言い訳もあった。スピードスケート男子1000メートルに出場したシャニー・デービス選手は8位に終わったが、ライアン・シマブクロコーチは、「われわれがあれほどの差をつけられたということは、何かあるということだ」と述べた。その「何か」が何なのかについては触れなかった。
五輪出場選手の多くは当たり障りのないコメントを言うのがあまり上手でない。だから、彼らの正直さには敬意を示したい。しかし、ソチの出場選手にクロスカントリー女子スプリントに出場したキカン・ランドール選手と同じアプローチを取る人がほとんどいないことも事実だ。ランドール選手はワールドカップで2度優勝しているが、ソチでは準々決勝で姿を消した。彼女は痛々しいほど端的に、「残念なことに、ゴール直前で力尽きてしまった」と話した。
しかし、米国のメダル有力候補の言い訳は数が豊富で、創造性も豊かなため、われわれにとって便利な指針になりそうだ。
■「雪の状態が悪いし、練習も十分にできなかった」
スノーボード男子ハーフパイプで2度金メダルを獲得しているショーン・ホワイト選手はソチで4位に終わり、米国でメダルを逃した大物選手の一人と言える。ホワイト選手はロザ・フトルの会場の状態について批判的な見方をしていた。試合前には、負傷した手首の療養のためにスロープスタイルに欠場し、ハーフパイプに専念することを決めていた。ハーフパイプで表彰台を逃した後、ホワイト選手はNBCテレビで、けがでずっと練習できなかったことを嘆いた。
■「審判の判定がばかげている」
2006年のトリノ五輪のスノーボード女子ハーフパイプで金メダルに輝いたハンナ・テーター選手は、チームメートのケリー・クラーク選手に0.25点届かず、4位に終わった。試合後、彼女は不正な判定で勝利を奪われたと述べた。「私は判定に満足していない。点数がもう少し良いはずだと思った。全ての技を大きく、ミスなくできたからだ」と話した。
■「考えすぎた(実は、サーフィンをし過ぎたかもしれない)」
10年のバンクーバー五輪の女子滑降とスーパー複合で銀メダルを獲得したジュリア・マンクーゾ選手は今回、スーパー複合では銅メダルに輝いたが、滑降では8位に終わった。試合後、彼女は記者団に対し、自分が「直感的なスキーヤー」で、「考えすぎたために自分らしく戦えなかった」と話した。
もちろん、これが全てではないだろう。複合競技の回転に出場後、マンクーゾ選手は回転のレースに丸1年出ていなかったと説明した。記録を見ると、マンクーゾ選手は異例の練習法を取り入れていたことが分かる。それには、オフシーズンにハワイのマウイ島に行って長い時間を過ごすというのが含まれる。彼女はその間、サーフィンやフリーダイビングなどを行っていた。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
杜父魚文庫
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