■米次期大統領選
<【2月22日 ワシントンD.C. AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官が大統領夫人だった90年代の「タイムカプセル」が開かれ、暴露された当時のプライベートな会話から、これまで米世論が知らなかった同氏の姿が浮かび上がっている。
公になったのは当時大統領夫人だったクリントン氏と、親友だったアンカーソー(Arkansas)州の大学教授ダイアン・ブレア(Diane Blair)氏とのやりとりで、ブレア氏がノートに書き残していた。同氏は2000年に死亡している。
そこに書かれていたありのままのクリントン氏は、冷静沈着で人気のあるやり手の政治家というその後のイメージとはかけ離れており、2016年米大統領選への出馬を検討中とされるクリントン氏をめぐり、早くも政治的駆け引きをあおっている。
公開された文書によれば、クリントン氏はワシントンの流儀に「面食らい、怒りを」感じていたという。さらにビル・クリントン(Bill Clinton)政権を「壊そう」とする人々に戸惑い、混乱続きだった政権最初の2年間について夫に激怒していたという。
2008年米大統領選の民主党予備選でバラク・オバマ(Barack Obama)大統領に敗北して以来、ヒラリー・クリントン氏は自分のイメージを改造してきた。国務長官として忠実にオバマ大統領に仕え、そして今再び、民主党大統領候補のチケットをつかむ本命とされている。
しかし公開されたブレア氏の記録には、1992年の民主党世論調査も含まれており、この中で有権者たちはクリントン氏の知性を高く評価する一方で、「冷酷」だとも捉えていた。これは大統領夫人としての役割を果たそうと苦心し非難を浴びていた時期に、クリントン氏がいかに相反する面を併せ持つ人物だったかを表している。
夫のビル・クリントン元大統領と、ホワイトハウス実習生だったモニカ・ルインスキー(Monica Lewinsky)さんとの不倫問題で揺れていた頃の夫婦関係についても、ブレア氏の文書で明らかにされた。ヒラリー・クリントン氏は夫を「人間として大きな過ち」を犯したと責め、ルインスキーさんについては「ナルシストで正気ではない」と形容したという。
■「すべての材料は用意されている」
共和党内の一部には、こうした90年代のスキャンダルを再び攻撃しようとする向きがある。
次期大統領選への出馬が予想される共和党のランド・ポール(Rand Paul)上院議員は、ビル・クリントン元大統領の最近のインタビューでの軽率な発言を取り上げ「人を食った行為だ」と非難している。ポール氏は「クリントン嫌い」の党内基盤や、共和党の指名を勝ち取るために必要な福音派の票を狙っているようだ。
しかしポール氏が望み薄とみられる共和党の指名争いで勝利したいなら、ただでさえ共和党が苦戦しがちな女性票にアピールすることを考えたほうがいいだろう。ヒラリー・クリントン氏が不面目を味わった過去を再び掘り起こしているポール氏に、女性たちは良い顔をしていない。
一方、ラインス・プリーバス(Reince Priebus)共和党全国委員長は米MSNBCテレビに対し、クリントン氏が民主党候補に指名された場合には「すべては用意されている」と述べた。「対立候補研究の成果は山ほどある。古いものもあれば、新しいものもだ」
90年代のスキャンダルを今さらかき集めることに意味はあるのだろうか。ツイッターで政治ゲームが行われているような今日からしてみれば、90年代など大昔のように思われる。
しかし「明らかに共和党は、有効な戦略だと考えている」と、 ニューヨークのフォーダム大学(Fordham University)で選挙戦略を教えるコスタス・パナゴポウロス(Costas Panagopoulos)氏はいう。「私は有効だとは思わないが…ヒラリー・クリントンは長く表舞台にいるから、人々は彼女について好きなところも、嫌いなところも分かっている」
16年の大統領選へ向けて、ヒラリー・クリントン氏に対する共和党の中傷キャンペーンを複雑にしているのは、国務長官を務めた4年間の実績だ。クリントン氏はその間に、2008年にオバマ氏に負けたときにはなかった政治家としての手腕を身につけた。(AFP)>
杜父魚文庫
15585 ヒラリー氏の「過去ネタ」攻撃狙う共和党 古沢襄

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