15612 習近平は三月に欧州歴訪へ出るが・・   宮崎正弘

■ドイツで大論争が起きた ベルリンの「ホロコースト記念塔」見学は政治利用、反対論渦巻く
ベルリンのブランデンブルグ門近くに「ヨーロッパで虐殺されたユダヤ人の記念碑」がある。
http://www.holocaust-mahnmal.de/
これは2005年に、ベルリンの壁が撤去された跡地を利用し、無人地帯に建設された、ユニークは墓場を模したオブジェ彫刻群と地下室にホロコースト記念館がある。
習近平主席は、三月下旬にドイツ、フランス、オランダ、ベルギーの四カ国を訪問するが、ドイツにおいてベルリンの「ホロコースト記念碑」見学を希望したところ、ドイツが拒絶するという挙にでた(香港『明報』、2月25日)。
習近平は訪独にあたり、この記念塔に献花を希望したわけだが、ドイツは「反日キャンペーンに利用される」として拒否したのだ。
「明らかにこの訪問を利用して日本非難の政治利用をする目的があり、政治的にいかがなものか。中国は『ドイツは戦争の謝罪と補償を済ませたが、日本は謝罪していない』ことを世界に向けて効果的に宣伝につかう懼れが強いため、他方で日本との関係を重視するドイツ側が断固拒絶している」とドイツ情報筋の話として前掲の香港紙『明報』が伝えた。
同紙は「香港のウォールストリートジャーナル」と言われるクオリティ・ぺーパーで、論調は中立、けっして北京寄りではない。
ドイツ駐在中国大使の史明徳は先月もドイツのテレビで、「ドイツは深刻な謝罪と誠意ある補償をしたが、日本は安倍首相が靖国参拝をしているようにドイツに比較すると謝罪は軽く誠意がない」などと発言し、さかんにドイツを煽てるそぶりをみせながら、日本を罵倒する宣伝戦術を行使した。
温家宝前首相は2012年のポーランド訪問時に、わざわざアウシェビッツにあるホロコースト記念館を訪問し、同様の発言をした。
李克強首相も前年にドイツを訪問した際にポツダムへすたこらと足を延ばし、ヤルタ会談が行われたツェツェリンホフ宮殿の前庭に記者団をあつめ、同様なことをパフォーマンスで示唆した。
もとより中国の人権侵害批判が強かったドイツのメルケル首相とて、この二、三年は、日本企業撤退をドイツ企業進出の絶好のチャンスとみて、中国市場のさらなる開拓のため、大型経済使節団を率いて二回も訪中を繰り返し、すっかり中国批判を控えている。
この弛緩した雰囲気を巧妙にとらえ、中国は図に乗ってドイツへ要望をだしたわけだが、「いまさら第二次世界停戦を中心議題にするのは迷惑な話。絶対に行かせない」と関係者が発言しているという。
▼卵を投げられませんように。。。
スペインは裁判所命令で江沢民元国家主席に「逮捕状」をだした。法輪功弾圧、臓器摘出強制の容疑である。また胡錦涛前主席に対してもスペインは「チベット人虐殺」容疑で取り調べを行うと発表した。
天安門事件では人権侵害を楯にフランスがもっとも戦闘的に中国を弾劾した。オランダやスペイン、イタリアなど李鵬首相(当時)は行く先々で罵倒され、抗議デモに怯え、法輪功や「チベットに自由を!」の長い列、くわえて世界ウィグル会議の抗議デモに見舞われた。欧州では決して中国の全体主義を容認してはいない。
他方、中国に甘い姿勢だった米国はスタンス替え。オバマ大統領は『中国が敵だ』とするアメリカ人の世論調査が二割を越えた情勢変化を背景に先週、訪米中のダライラマ法王と面談した。
杜父魚文庫

コメント

  1. おかか味 より:

    貴殿のブログをいつも楽しみにしております。
    私の在住する県でも、PM2・5の注意喚起がなされました。
    日中ずっと薄霞がかかっているような状態。これの十数倍の濃度の中で暮らす、
    北京や上海市民の方々の心はいかばかりか。
    習近平氏、ここ最近の腐敗撲滅活動は絶好調のようですね。周氏もついに年貢の納め時でしょうか。
    最近は突如北京市内に現れるなど、市民の支持を得るパフォーマンスも忘れていないご様子。
    この余裕はひょっとして、党内で盤石の基盤を築きつつあると解釈してもよいのでしょうか。
    それとも、ある種の焦りからこのような暴挙(?)に出ているのか…
    ここ最近で解せないのが、この動き
    日中の政府間民間交流再開の動き
    ttp://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140224-OYT1T01007.htm
    投資の減速と工業に陰りが見え始めた中国にとって民間交流拡大は好ましい動き。
    特に、李首相はじめ経済政策重視の団派にとっては、悪い話ではないでしょう。
    かと思えば、日本企業の撤退を加速するような賠償訴訟
    ttp://sankei.jp.msn.com/world/news/140226/chn14022607540002-n1.htm
    …政府も訴訟を受理する方針だとか
    ただでさえ欧米企業も撤退しつつある中、さらに日本企業撤退を加速させて、
    訴訟に煽られて反日デモなんか起きたら、政権転覆デモに変化しかねないのでは…
    毎度のことですが、ここ最近は特に政府(党)のやることが一貫してないように思えます。
    権力集中どころかますます泥沼化しているような…
    もう一つよくわからないのが、習と軍との関係
    軍部のぜいたく禁止や7軍区の統廃合に統合幕僚部の創設など、軍部の利権にダイレクトに手を入れています。
    こういった行為が許されるほどに軍部を掌握しつつあるのか、それとも民衆の人気獲得のポーズに過ぎないのか。
    そういえば影の銀行の理財商品破綻が騒がれていますが、北京周辺の山西省の500億は「謎の投資家」により、
    元本は保証されましたが、薄熙来の根拠地(藩陽軍区)に近い吉林省の100億は返済が滞っているとか。
    経済活動に勤しむ人民解放軍幹部も、数多くがこの理財商品に手を出しており、信用できる軍部がある地域だけは、
    救済してあげた…というのは想像力が逞しすぎるでしょうか。
    習氏が権力を完全掌握し、日本に対して牙を向けてくるのが一番恐ろしい。
    我らが同盟国も最近は大人しいようなので、外に目が向かない程度に中で争っていて欲しいものです。

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