謎が謎を産むマレーシア航空機の行方不明だが、イスラム教徒のザハリエ機長が意図的に航路を変えて、中国人の旅客もろともインド洋に墜落させた”自爆テロ”という見方も浮上している。もっともザハリエ機長が過激なイスラム原理主義者だっという確証は得られていない。
マレーシアは65%のマレー系、24%の華人系、8%のインド系が複雑に入り混じって並存する多民族国家。宗教面ではイスラム教が国教であり、マレー系を中心に広く信仰されている。しかし中国系は仏教、インド系はヒンドゥー教徒が多い。
またマレーシアで有力な経済人は華人系が圧倒的に多く、個人総資産額の上位の大半が華人系で占められている。
この構造は同じような多民族国家・インドネシアでも経済の実権を握る華人系に対して貧困層のマレー系との対立図式が顕著である。それが1997年7月のアジア通貨経済危機に重なり、スハルト政権と華人政商に対する市民暴動が発生している。
ジャカルタの各所で華人経営の商店やスーパーマーケットなどが略奪・放火され、さらに多数の華人女性が暴行されるという事件が起こった。コタ地区やグロドック地区などのチャイナタウンは、暴動で放火・略奪などの大きな被害を受けた。5000以上の華人商店と住宅が襲撃を受け、1200人余が死亡し、数十万人の華人系が国外へ避難した。
マレーシア当局が中国の非難にもかかわらず、マレーシア航空機の行方不明事件について情報を秘匿しているのは、国内対策があるからではないか。
面白い情報がイスラエルから出ている。
<行方不明のマレーシア航空機の切符を買おうとしたユダヤ人が「安息日に違反する切符は売れない」と旅行代理店に言われて断念し、命が助かったと告白。メールのやり取りをネットに公開した。(エルサレム・ポスト)>
産経新聞はクアラルンプール、ワシントン、北京の三つの情報を総合して謎のマレーシア航空機の行方不明について謎解きを報じている。案外、これが当たっているのかもしれない。
■ザハリエ機長がすべてを知っている!? 自宅で訓練 疑いの目 「機体はインド洋海底に」
<消息不明になっているマレーシア航空機は、通信装置が何者かによって故意に切られた後、針路を変更していたことが明らかになっている。一連の行為には高度な知識と高い操縦技術が不可欠で、それらの要素を兼ね備えていたザハリエ機長(52)を疑う報道が日ごとに増えてきた。
ザハリエ氏は1981年から同航空に勤務するベテラン。試験官の資格も持ち、不明となったボーイング777型機や管制に精通している。ファリク副操縦士(27)は同型機に乗ってからまだ日が浅いという。
ザハリエ氏の自宅からは、フライト・シミュレーターが押収された。ソフトは市販されており、多くのパイロットが自宅での訓練などに使っている。だが、同航空でシミュレーター試験も主導するザハリエ氏は、会社の機器を自由に使えたはずで、わざわざ自宅にそろえる必要があったのかという疑問が浮上する。
通信装置が切られたマレーシア機は突然、高度を上げた後に急降下。さらにレーダーを避けるように低高度を飛んだともみられている。AP通信によると、ザハリエ氏はパソコンのモニターを3台連ね操縦室を自宅に再現していたという。シミュレーターは世界各地の地形をリアルに映し出すことが可能で、自宅で特殊な操縦訓練をしていた可能性を指摘する向きもある。
現地警察は、シミュレーターに不審な形跡は見つかっていないとしている。しかしザハリエ氏がパソコンを操縦室に携行していたとの情報もあり、秘密のフライトデータが持ち込まれた可能性も取り沙汰される。
ザハリエ機長が関与していたと仮定した場合、問題となるのは動機だ。敬虔(けいけん)なイスラム教徒のザハリエ氏について、マレーシア警察は過激な原理主義との接点の有無なども調べている。
地元メディアは、ザハリエ氏がマレーシアの野党連合を率いるアンワル元副首相の支持者だった点を指摘している。アンワル氏は地方選準備を進めていた7日、異常性行為罪に問われた事件の控訴審で逆転有罪判決を言い渡され、再び政治的危機に追い込まれた。フライト前日のことだった。
一方、マレーシア機に約150人の中国人が搭乗していた中国や米国では、航空機失踪の背景に関する捜査が不十分なことへの不満やいらだちが募っている。
米下院国土安全保障委員会のキング下院議員(共和党)は16日、米ABCテレビに出演し、「最初から機長と副操縦士に注目すべきだった」と、マレーシア当局の動きの遅さを批判。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は同日、米政府が航空機の乗客や搭乗員の中からテロリストグループの関係者を洗い出す作業を進めていると報じた。
また、中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(英語版)は17日付で、マレーシア政府を「無能」と酷評する論評を掲載。中国外務省報道官も同日の記者会見で、正確な情報を提供するようマレーシア側に求めた。
マレーシア機の自動通信を衛星が最後にとらえたのは、消息を絶った約6時間40分後で、その地点は中央アジア、あるいはインド洋と推測されている。ただ、同機が中央アジアに向かったと想定した場合、各国の軍レーダーなどが察知した可能性が高い。
米下院情報特別委員会のロジャース委員長(共和党)は16日、米CBSテレビに出演し「機体がインド洋の海底に沈んでいる可能性が一番大きい」と指摘した。(産経・クアラルンプール吉村英輝、ワシントン小雲規生、北京川越一)
杜父魚文庫
15662 マレーシア航空機の機体はインド洋海底に 古澤襄

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