15778 北朝鮮、韓国大統領中傷に「週刊文春」引用   古澤襄

朴大統領(3月27日、ベルリン)北朝鮮国営メディアは、韓国の朴槿恵大統領に対する中傷キャンペーンを繰り広げる中で、異例にも日本の保守的な大衆誌を引用した。
北朝鮮メディアによる韓国大統領の痛烈な批判はいつものことだが、ここ数日間は攻撃の激しさが増している。特にやり玉に挙げているのが、朴大統領が欧州滞在中に朝鮮半島の統一について行った発言だ。
北朝鮮の朝鮮中央通信社(KCNA)は1日、朴氏は「ばかげた話を織り交ぜて『統一提案』を打ち出したため、派閥内でも冷笑され批判されている」と報じた。
そこから文言はさらに挑戦的になり、性差別的になる。「おせっかいな田舎の女性」という表現はまだ穏やかな方だ。
KCNAは朴氏批判を展開するために、アナリスト、学者、そして平壌市民のコメントすら引用するというなじみの手法を踏襲した。意外だったのは、日本の「週刊文春」の見出しを使ったことだ。同誌2013年12月5日号は、朴大統領を「今週のバカ」として取り上げた。

政治的に右寄りの同誌は、このコラムに「朴槿恵の『おばさん外交』」という見出しをつけ、隣人の悪口を言いふらす老婦人の印象を表現した。
KCNAは「週刊文春が朴氏の言動を、罵詈(ばり)雑言を発するおばさんの外交とあざけるのにも一理ある」と述べている。
KCNAは東京に事務所を構え、恐らく週刊文春にもほとんど目を通しているはずだ。同誌は、朝鮮半島の植民地支配(1910~45年)をめぐって日本にあらためて謝罪と補償を求める韓国の動きに批判的で、その論調に北朝鮮は不快感を抱いているだろう。こうした問題では北朝鮮と韓国の意見はおおむね一致している。
韓国の外務省は、朴氏を批判した週刊文春の記事を「極めて非常識」で「日本国民の健全な常識に反する」と評した。
今週の北朝鮮による痛烈な批判について韓国政府は1日に声明を出し、北朝鮮は「わが国家元首の外交活動を攻撃するために、言うに耐えないほどの文言を使って愚かな言動をした」と述べた。
朴氏は北朝鮮からの批判に公的には応えていない。北朝鮮は今年に入り、相互の中傷を中止することで韓国と合意していた。
(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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