15798 米政府、中東和平交渉の無期限中断を示唆    古澤襄

【ワシントン】米オバマ政権は4日、イスラエルとパレスチナを和平交渉のテーブルに着かせるための協議を期限を切らずに中断させることを示唆した。ケリー国務長官は協議が「実態把握」の時を迎えていると発言、両者間の調停役から外れる可能性もほのめかせた。
ケリー長官は現在、中東訪問からの帰途にある。長官は今回の訪問でパレスチナ指導者らとの会談を予定していたが、イスラエルとパレスチナが互いの反発を招く行動を取ったことから、予定を急きょキャンセルした。
ホワイトハウスはケリー長官が帰国後にオバマ大統領と米側の次の手について協議する予定であるとしている。中東和平交渉はオバマ大統領の外交課題の焦点となっている。

ホワイトハウスのアーネスト大統領副報道官は「パレスチナ、イスラエル双方の指導者とも、大変難しい決断をするのに一定の時間を必要とする段階を迎えている」と述べた。
さらに副報道官は、米国が他の「幅広い試練」に対処しなければならないことをかんがみ、オバマ大統領は中東和平にどれだけ政治力を費やすか再考していることを明かした。
この日のケリー長官と副報道官の発言は、オバマ大統領がこれまで大きな力を入れてきた中東和平協議についてここ数カ月の間に示された見通しの中で、最も先行きを懸念させるものだ。
アーネスト副報道官は「この協議の成否は非常に大きな影響があるため、政権が引き続き力を注ぐ姿勢に変わりはない。と同時にわれわれの目指す最終的なゴールは、イスラエルとパレスチナの指導者が彼らしかできない決断をして初めて達成できる」と述べた。
ケリー長官は過去14カ月近くにわたって、エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ヨルダンを中心に精力的なシャトル外交を展開、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長を引き合わせ、パレスチナ独立国家を作ることを目指してきた。
ケリー長官は当初、中東和平の交渉期限を今月29日に設定していた。しかし、両者の最近の非難合戦の激化を受けて、この協議と米国の役割を再点検せざるを得なくなったと述べた。
帰途のモロッコでケリー長官は記者団に対して「当事者同士が建設的な対応を取れないのなら、米国がこのために割ける時間と努力には限界がある」と警告した。
イスラエル側は先週末、最終回として予定されていたパレスチナ人受刑者の釈放を延期、これに対し、パレスチナ側は国家としての国際承認を求めないとする合意を即座に撤回した。両者とも、双方が和平協議の条件を破ったと非難している。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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