15837 朴大統領の「殺人に等しい」発言、国民の大半は反発   古澤襄

■「政府批判かわすため」
<韓国南西部の珍島沖で発生した客船沈没事故で、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は事故を起こした客船の船長と一部乗組員の行動は「殺人に等しい」と強く非難した。だが、国民の間では大統領に対する批判も強かった。476人の乗客・乗員の救出活動に政府はしくじったというのがその理由だ。
犠牲者の遺族らが集まっている珍島の体育館を朴大統領が訪れた17日には、政府の遅々とした対応や、信頼できる情報が当局から発表されないことなどについて質問攻めにあった。
この日以降、沈没した船からは生存者が発見されていない。先週末に明らかになったことは、乗組員はほとんどが助かっており、イ・ジュンソク船長にいたっては真っ先に岸に上がった一人だったということだ。
朴大統領は21日に「殺人に等しい」と発言することで、国民の怒りを代弁しようとしたのか、それとも非難の矛先を船長と一部乗組員に向けさせようとしたのか。いずれにしても、この発言は朴大統領の支持者および反支持者の間で物議をかもすことになった。
このことはコリア・リアル・タイムが英語と韓国語のサイトで実施した世論調査に如実に反映されている。
質問は両サイトとも同一。「朴大統領が船長と一部乗組員の行動を『殺人に等しい』と呼んだのは正しかったか」というものだ。結果は両サイトとも明確な「ノー」だった。はっきり言えば、朴大統領がこういう言い方をするのは正しくなかったということだ。

英語のサイトでは、23日午後の遅い時間までに4000強の回答数があり、そのうちの約3分の2が朴大統領を支持しないと回答。一方、韓国語のサイトでは約2600の回答のうち87%が朴大統領を支持しないと答えた。
韓国語のサイトはさらに、「ノー」と回答した人にその理由を選択してもらった。すると約3分の2が、朴大統領があの発言をしたのは政府に対する非難をかわすためだったと思う、という選択肢を選んだ。
朴大統領の発言は船長と一部の乗組員の裁判に偏見を与えるとの回答はわずか15%だった。
確かに、この2つの世論調査は科学的に厳密ではない。しょせんネット上の世論調査だ。何度でも回答できるうえ、複数の機器を使うことも出来る。質問のしかたや複数の選択肢についてあら探しをすることもできる。しかも22日には一日を通して調査結果が大きく揺れ動いた。支持派と反対派のどちらかの傾向が強まるたびにだ。
この世論調査は何か確実なことを意味するのだろうか。そうではないだろう。この議論は当面、おさまりそうにない。(米ウォール・ストリート・ジャーナル・By JONATHAN CHENG)>
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