■2000万人の個人情報流出…乏しい順法精神、縁故採用・出世の掃き溜め
韓国の情報通信大手KTが過去10年で計3度、計2千万人以上の顧客情報を流出させ、国民の不信を買っているという。しかも子会社の社員が3千億ウォン(300億円)もの融資詐欺事件に関与していた。情報を扱う企業の杜撰(ずさん)な情報管理と、社員の倫理観の乏しさ…。他国を信用させない国・韓国を象徴する出来事でもあった。
■情報流出を1年間も放置…
中央日報(電子版)や米CNN(電子版)などによると、KTは3月初旬、ハッカーに1年間で加入者の4分の3にあたる1200万人分の顧客情報を盗み出されていたことが判明した。警察当局は事件に関わっていた29歳と37歳の男を逮捕した。
29歳の男は自作のプログラムでKTのコンピューターシステムに侵入。情報を盗み、これを電話勧誘業の37歳の男に売り渡した。男は顧客に電話し、携帯電話を販売。2人は計115億ウォン(約11億円)も売り上げていたとされる。
ところが、KTが顧客情報を大量流出させたのは、これが初めてではなかった。過去10年間で今回が3度目。中央日報によると、同社はまず2004年に92万人分、12年に877万人分の個人情報をそれぞれ大量流出させている。
今回の事件後に、KTは「内部のセキュリティー・システムを強化し、すべての従業員の保安意識を高める」と謝罪したが、中央日報は「犯人が極めて初歩的なプログラムを利用して顧客の個人情報を盗み出すのを1年間も気付かず放置した」と批判した。
KTをめぐっては、前会長が昨年11月、強引な買収や融資で数百億ウォンの損害をもたらしたとして、背任容疑で検察当局の捜査を受けた。その後、子会社の社員が3千億ウォンもの融資詐欺事件に関与する事件も発覚。企業倫理に乏しく、安全意識が極めて低いとしか言いようがない事件が相次いでいる。
中央日報によると、韓国の信用機関「韓国信用評価」は3月13日、これを契機に、KTと子会社5社について信用等級下方監視対象にしたと発表した。
■相次ぐ格下げ
韓国国内だけでなく、KTをはじめとする韓国の大手企業をめぐっては、世界の信用格付け会社から評価を下げられている。
ムーディーズは今年2月、韓国の情報通信大手のKTを、投資リスクがほとんどないことを示すA3からBaa1と1段階引き下げた。高コスト構造が問題視された上に、携帯電話市場の伸び悩みが懸念された。そのうえ、今後1~2年、売却できる資産がない状態で利益を上げることが難しいとみなされた。
ムーディーズは、LGエレクトロニクスと石油大手GSカルテックスをそれぞれBaa2からBaa3としたほか、ロッテショッピングもBaa1からBaa2に。鉄鋼大手のポスコもフィッチから格下げされた。
理由はさまざまだが、高コスト体質に加え、過剰な設備投資や、部品の供給については日本や中国に依存していることなどが指摘されている。格下げは、市場進出も含め、過度な中国依存を続けていることへの警鐘でもある。
いずれにしろ、韓国の国内総生産(GDP)の約7割は財閥企業が占めているとされる。主要企業の相次ぐ格下げは韓国経済の失速に直結する。
■不信の連鎖
朝鮮日報は「外国人投資家にそっぽ向かれる韓国の銀行」と題した記者のコラムを掲載し、「銀行の人事が実力や実績ではなく、コネや働き賭けで決まる」と指摘。また、別の記事では、長引く景気低迷で庶民が苦しむ中で、韓国の国会議員の64・5%は2013年中に資産が増え、1億ウォン(約950万円)増えた議員は78人にものぼるとした。
庶民の生活とはかけ離れた銀行や政治のやりたい放題もまた、この国を信用できない理由のひとつ。そして韓国人もまた、韓国社会を信用していない。不信の連鎖が続いている。(産経・大阪から世界を読む)>
杜父魚文庫
15866 次々と格下げされる韓国企業 古澤襄

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