■ウクライナ、ロシア、米国、EUによる武装組織の武装解除合意が白紙か
<[スラビャンスク(ウクライナ) 2日 ロイター]ウクライナ政権が親ロシア派が拠点としている東部の都市奪還に向け大規模な軍事作戦を再開させるなか、スラビャンスクで2日、親ロシア派による地上からの攻撃でウクライナ軍のヘリコプター2機が撃墜され、兵士2人が死亡した。
また、南部の港湾都市オデッサではウクライナの結束を呼びかける一派と親ロシア派が衝突し、3人死亡、15人が負傷した。
ウクライナ、ロシア、米国、欧州連合(EU)は4月17日にジュネーブで行った会合でウクライナ情勢の緊張緩和に向け武装組織の武装解除などで合意しているが、ロシアのペスコフ大統領報道官は、ウクライナ政府によるスラビャンスク奪還の動きは、この4者合意の履行に向けた最後の希望を踏みにじる行為と非難。事態は一段と緊迫化している。
ウクライナ国防省によると、ウクライナ軍のMi─24型ヘリコプター2機は、スラビャンスク上空をパトロール中に携帯式地対空ミサイルよる攻撃を受け撃墜された。
ウクライナ保安庁(SBU)は「訓練を受けた高度に専門的な外国の軍人」がスラビャンスクで活動していることを示すものとの見解を表明。同地域で活動しているのは地元住民としているロシアの主張に反論した。
ウクライナ政府が東部都市の奪還作戦を進めるなかでも親ロシア派による活動は活発化しており、東部ドネツク地方では親ロシア派が鉄道の管制センターを占拠。電力の供給が止められ、列車の運行ができない事態となっている。
こうしたなか、ロシアのペスコフ大統領報道官はロシアの通信社に対し、「ロシアはウクライナ情勢の緊張緩和に向け取り組んでいるが、ウクライナ側は軍用機による攻撃を開始した。ジュネーブ合意履行に向けた最後の希望が踏みにじられている」と述べた。
ウクライナ南東部では欧州安保協力機構(OSCE)監視団のメンバーが親ロシア派勢力により拘束されており、ロシアは人権担当特使のウラジーミル・ルーキン氏を現地に派遣し、監視団員の解放に向け交渉に当たらせていた。
ペスコフ報道官は、政府はルーキン氏と連絡が取れなくなっているとしていたが、その後、国営ロシア通信(RIA)は同氏の安全を確認したと報じている。
事態が一段と緊迫するなか、米国のヘーゲル国防長官はロシアによるウクライナでの行動を受け、北大西洋条約機構(NATO)の欧州の加盟国は国防予算を積み増す必要があると指摘。EUは、重大な懸念を持ってウクライナ東部での情勢を注視していると表明した。
ただ、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に加盟しておらず、西側諸国はウクライナ支援に向け軍事力は行使しないとの立場を明確にしている。(ロイター)>
杜父魚文庫
15937 親ロ派の地対空ミサイルでウクライナ軍ヘリ撃墜 古澤襄

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