■夏の「成果」に迫る期限-民主党
民主党の海江田万里代表の進退に再び注目が集まりだした。昨年7月の参院選惨敗で辞任要求を突き付けられ、「目に見える成果」が1年後に出せなければ代表を退くとしてかわした経緯からだ。約束の期限が迫る中、成果を見せる絶好の機会だった4月の衆院鹿児島2区補選で敗北。安倍政権との対決や野党再編でも存在感を示せず、党内で「海江田降ろし」が再燃する可能性もある。
「島では負けたが、よく戦った」。補選翌日の役員会で、海江田氏は「善戦」ぶりを強調した。民主など野党4党が推薦した元職は、鹿児島市などでは得票で自民党候補を上回ったため、党幹部は「都市部で票が取れると分かった。成果の一つだ」と評価する。しかし、「今回は自民党側の『政治とカネ』が問題で、勝たなければならなかった」(若手)と敗北の責任を問う声も根強い。
海江田氏は、野党転落後の代表就任で「火中のクリを拾った」との自負が強く、「党を1ミリでも前に進めたい」と来年9月の任期満了までの続投に意欲を見せる。
しかし、党分裂回避に腐心するあまり、党内で意見が割れる集団的自衛権などで安倍政権との対立軸を明確にできず、党支持率は一桁で低迷。野党再編を主導する意欲も見せないことから「発信力不足」との指摘がつきまとう。
こんな海江田氏に、党内からは「党首の資質があるのか」(若手)、「民主党の立ち位置が見えてこない。詰め腹を切ってもらう」(中堅)と不満が渦巻く。代表経験者である前原誠司元外相に近い議員は「統一地方選を戦えないのは間違いない。『海江田降ろし』をどのタイミングで始めるかだ」と、辞任要求に動く構えを隠さない。
ただ、代表交代論がどこまで広がるかは不透明だ。先月、党内グループ「自誓会」を旗揚げした細野豪志前幹事長の周辺は「今、引きずり降ろせば有権者の信用を失う。代表選をやるべき時は来る」と様子見だ。前原氏や岡田克也前副総理ら民主党政権の中枢を担った実力者に対しては「野党転落の戦犯」との批判がくすぶり、衆目が一致する「ポスト海江田」候補は見当たらない。(時事)>
杜父魚文庫
15959 「海江田降ろし」再燃も 時事通信 古澤襄

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