16013 オバマは「黒いサル」と差別的な表現   古澤襄

■北朝鮮の“口撃”に米政府激怒
北朝鮮の国営通信社、朝鮮中央通信が、バラク・オバマ米大統領(52)を「卑劣な黒いサル」などと差別的な表現で批判する長文の記事を配信していたことが判明し、米国務省のハーフ副報道官は8日(日本時間9日)、「最低だ。ばかげている」などと強く非難した。記事には、普通なら外交的にほとんど見られないような悪意に満ちた表現が並んでおり、米朝関係の一層の悪化につながりそうだ。
朝鮮中央通信といえば、大げさな表現で日本、米国、韓国を非難するのが“常套(じょうとう)手段”。しかし、これだけひどい文言の羅列はレッドカードだ。
問題となっているのは同通信が2日に配信したオバマ氏の訪韓を批判する記事。「オバマのみすぼらしい姿を見ていると、吐き気ではらわたが煮えくりかえる」と、書き出しから刺激的だ。
次に「浅黒い顔、やつれた灰色の目、岩穴のような鼻の穴、たらこ唇、毛深く荒れた耳を持つアフリカのサルにしか見えない」とし、「飛行機を乗り降りする姿や、スピーチで長い手足をくねらせる姿はサルそのもの」と侮辱の言葉を続けた。
これだけでは終わらない。「人類は進化しているのに、サルのまま」としたうえで、「アフリカの自然動物園で、サルの集団と一緒に暮らし、見物人が投げるパンくずをなめているのがぴったり」「人間の基本的な外見すらない」など極めて人種差別的な表現でオバマ氏をののしった。
記事は、製鉄工場の労働者や軍関係者の声を集めた体裁を取っている。朝鮮語で配信され、英語版の記事がなかったことから注目を集めていなかったが、8日付の米紙ワシントン・ポストが取り上げたことから問題が表面化した。
いつもは北朝鮮からの批判を受け流す米政府も、黙っていられなかった。国務省のハーフ副報道官は同日の会見で「侮辱的で、常軌を逸している。どんな言葉を使っても表現しきれない(ほどひどい記事)」と激怒。「こんなばかげたことを言うよりも、自国民の生活向上を目指すべきだ」と強く非難した。国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官も「非常に醜悪で無礼だ」と声明を発表した。
核とミサイル開発に加え、今度は罵詈(ばり)雑言を並べ立てて“口撃”を仕掛けてきた北朝鮮。米国はさらに圧力を強めそうだ。
■北朝鮮問題が専門の重村智計・早大国際教養学部教授の話
「今回の記事の背景には、米国に関心を持ってもらいたいとの思惑がある。北朝鮮は現在、外交がうまくいっていない。最も親しいはずの中国との関係は、金正恩第1書記が最高指導者になって2年以上たつのに首脳会談が開けないほど最悪の状態。韓国とも良くない。残るは日本と米国で、日本とは拉致問題をめぐって水面下でのパイプはあるが、米国とのパイプはない上に、最近は核実験をちらつかせても無関心だった。悪口でもいいから関心を引いて、対話の糸口にしたいのだろう」(サンケイスポーツ)>
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