16028 やはり誤解されている安倍首相の「積極的平和主義」   宮崎正弘

■欧米メディアは「なんのこっちゃ?」。左翼メディアは黙殺
ダボス会議での声明(安倍首相は一月にダボスで演説した)は、英米記者がねじまげて報じた。意図的曲解をここぞとばかり中国・韓国が声高に世界に喧伝したため、日本の首相の本意はゆがめられて伝わった。
連休を利用した安倍首相の欧米歴訪も英独ではやや冷たくあしらわれたが、ベルギー、ポルトガル、フランス、スペインは好意的にその誠意を受け止めたようである。安倍首相は六月にイタリアを訪問する。
なにが問題か。「積極的平和主義」の英訳が直訳すぎるからである。これを直訳すれば、ACTIVE PACIFISMとなるが、これだと完全に誤解される。
つまりパシフィズムは「平和主義」ではなく諸外国では「敗北主義」の意味である。日本は積極的に降伏すると捉えられるおそれが強いと思っていたが、案の定、欧米誌の一部は「なんの、こっちゃ」という反応である。

広島の原爆ドームの碑が「過ちは繰り返しません」と懺悔となっているように、とんちんかんである。またNYタイムズなど左翼リベラル紙は、ほぼ黙殺している。いや、あるいは意味が分からないから日本外交の真意を理解できず報道しないのかもしれない。
この「積極的平和主義」は、[proactive contiributor to peace]と訳し直し、外務省は世界に向けて発信し直したほうが良く、また通訳官、外国公館、英文メディアに注釈をおくるべきだろう
(註 英語のPEACEはもともと、PACIFYから来ているが、PACIFYは「征服する、平定する」という意味で、戦勝国がもたらず(力による)秩序が「和平」であり、日本人の概念にある「平和」とは百八十度異なる。
中国語には近年日本から輸入されるまで「平和」という語彙はなく「和平」だった。従って「PACIFISM」は敗北主義という意味にとられがちなのである)
杜父魚文庫

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