■共産党高官の不正、腐敗を暴く急先鋒メディアに北京の報復?
在米華字紙のなかで、もっとも中国共産党に批判的メディアが博訊新聞網である。ときおり五毛幇らのハッカー襲撃をうけてホームページが破壊されたりするものの、めげないで毎日、何回もニュースを更新し、月刊雑誌も発行している。
11日、このメディアの辣腕記者、向南天が拘束された。同誌はただちに釈放要求をだして、記者は肺病をやんでおり、入院させるべきと報じている。
また同誌の最新の腐敗キャンペーンはついに現職の政治局常務委員に向かった。
習近平執行部の政治局常務委員七名のうち、愈正声、張徳江、劉雲山、張高麗の四人は上海派。このなかでも前から評判が悪いのは張高麗(石油派、江沢民の腰巾着)と劉雲山(前宣伝部長)である。
劉雲山の長男、劉東飛は平凡な家の娘と結婚していたが、公安部長から人民検察院検察長となった賈春旺の娘と再婚し、金融業界に人生の出世の活路を見いだした。
前妻との離婚をすすめたのは、政治戦略上の早い出世欲からで、賈春旺の娘との再婚を推進したのも劉雲山だったという。
劉東飛は、再婚後、中国銀河証券投資管理部を皮切りに中国人寿保険の投資部門を経て中国信産業投資ファンドのCEO、その運用するファンドは数千億元規模である。一説に邦貨換算7兆円規模(拙著『中国を動かす百人』、双葉社)
投資先とポートフォリオの責任者であり、六年前すでに運用資産が350億元と言われたものだった。運用先に山西の石炭産業が多く、恣意的な運用先決定による見返りに闇のカネが動いているのではないか、と前々から噂が絶えなかった。
博訊新聞系列の雑誌『博訊』五月号は、この劉東飛の「情婦」たちを特集している。次男の劉東亭は内蒙古の医薬保険業界に進出し、不動産ビジネスにも手を染めて数百億元の財をなした。
これも父親の劉雲山が内蒙古の師範大学に学び共青団(団派)にはいって、宣伝部門でめざましい活躍で頭角をあらわし、いわば共産主義青年団人脈として胡錦涛に見いだされたが、利権にめざとく、いつしか上海派にも食い込んでいた。
ともかく内蒙古自治区に相当の人脈を築いていた劉雲山の経歴と経緯からその次男が内蒙古でのビジネスを派手に展開しているわけである。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声)貴誌前号にあった「積極的平和主義」は、[proactive contiributor topeace]と訳し直し、外務省は世界に向けて発信し直したほうが良く、また通訳官、外国公館、英文メディアに注釈をおくるべきだろう。
「積極的平和主義」は“Proactive contributor to peace”で決まりですね。日本人にはBig Wordを並べれば格好が付くと思う傾向がありますよね。「reactiveではなく、空気を読んで平和に貢献する」。これならば、一発で外人の頭にも入るでしょう。逆に外務省の通訳官はいったい何をやっているのかという気がします。(R生、ハノイ)
(読者の声)ベトナムが中国に果敢に挑んでおり、各地で反中国のデモや集会が行われています。日本でも同様な企画はないのでしょうか。ベトナムと連帯する必要があると思います。(JI生、栃木)
(宮崎正弘のコメント)ベトナムは共産党独裁ですので、公然たるデモは、政府系のやらせ、でしょう。しかし、ベトナムの民意を代弁している。ナショナリズムを収斂させるテーマをベトナム執権党が見つけたのかも知れません。
杜父魚文庫
16050 中国共産党批判の急先鋒「博訊新聞網」の向南天記者を拘束 宮崎正弘

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