16054 世界世論がベトナムの味方について、ますます孤立深める中国   宮崎正弘

■ケリー米国務長官「挑発的である」と北京を強く非難した
中国に大甘な姿勢をみせてきたオバマ政権も、あまりに凶暴かつ国際秩序を無視して傍若無人にふるまう中国に怒りをあらわにした。
ケリー米国務長官が、中国のカウンター・パートである王毅外相に電話して、南シナ海における海洋リグ建設と抗議するベトナム船への暴力的妨害行為を「挑発的だ」と強く批判していたことが分かった。
ベトナムにおける反中抗議活動は暴力化した。
ベトナム南部平陽県にあるシンガポール資本の工業団地にデモ隊が乱入し、一部の工場に放火、駐車中の四大の車にも火がつけられ、暴徒化した。この工場団地には香港、台湾企業のほか、日本企業も入居しており、従業員は数千人規模。
ところが工場団地のなかで、襲撃されたのは中国企業ばかりか、台湾資本の履物工場が含まれており、漢字の看板だけをみて台湾企業まで巻き添えを食って襲撃されたことが分かり、台湾がホーチミンにある経済オフィスを通じて厳重に抗議したことが判明した(『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』、『台北タイムズ』などの報道)。
台湾にとっては凶暴中国と同一視されたことに不満を抱いている。日本企業も窓ガラスを割られるなど被害がでた。
パラセル諸島(西砂)で中国はベトナムとにらみ合いを続けているが、南沙諸島のジョンソン南礁(フィリピン名はマピニ礁)に中国はレーダー施設を建設するための機材を持ち込み、岩礁の埋め立て工事を展開していることが判明した。
ことし二月に中国の埋め立てのため大量の砂の搬入が確認されていたが、基地化するための工事がさらに進んでいた。このジョンソン岩礁はフィリピンの排他的経済水域である。
これに対応してフィリピン国防省はガグアサ島にある滑走路(1・3キロ)の整備工事に着手する。バクアサ島にはフィリピン海兵隊が50名規模で駐屯している。一般住民も百人程度が暮らしている。
     
(読者の声)貴誌4228号、『中国共産党高官、その脳幹も腐り始めた』とは適切な表現ですが、今月号『中央公論』でもエマニエル・トッドが、そういう批判をしていて、ずいぶんと参考になりました。宮崎さんはトッドをいかに評価されますか?(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)フランスの人口学学者のトッド(フランス国立人口学研究所)は人口比率からソビエトの崩壊を予測して大ブレーク、世界的著名人ですね。エマニエル・トッドの所論(「腐敗は頭部から始まっている」、『中央公論』14年5月号)では、中国批判もさりながら、主題は高齢化、少子化の大国の『暗い未来』を論じたものです。
そして中国に関しては「(共産党幹部)自身も、自分ではコントロールできない力の支配下にあるのであって、このことは、潜在的に見て、中国社会にきわめて危険な影響を及ぼしかねません」と発言しています。
そしてこう言い切ります。「中国のとっての真の脅威は、みずからの誇大妄想的な野望だ」まさに箴言です。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました