16072 日本人が日本を最も危険視する  古森義久

集団的自衛権の論議では日本不信が顕著です。全世界のどの国も行使の権利を有する集団的自衛権も日本だけには許してはならない、というのです。
中国や韓国という反日国家が主張するならわかります。ところが日本国内の一部勢力がそう主張するのです。
日本が集団的自衛権の行使を解禁すると、他国に軍事攻撃をかける危険がある、というのです。日本人による日本不信です。

この点をアメリカ側の反応を指針として紹介しました。
■集団的自衛権議論で表面化する“日本性悪説”日本を恐れているのは実は日本自身
ところがこのセミナーでは、そのような日本への指摘をはねつける反対の発言が出た。
「他国なら当然の防衛や軍事の権利を日本だけには認めるなという主張に従えば、日本は国際社会のモンスターなのか。いつまでも鎖につないでおかねばならない危険な犬なのか」
発言したのはスタンフォード大学の研究員やヘンリー・スティムソン・センターの上級研究員を務めたアジア研究学者のベン・セルフ氏だった。同氏は日本の政治や外交をも専門領域とし、慶應義塾大学への留学体験もある。
セルフ氏は次のようにも述べた。
「全世界の主権国家がみな保有する権利を日本だけには許してはならないというのは、日本国民を先天的に危険な民族と暗に断じて、永遠に信頼しないとする偏見だ。差別でもある」
セルフ氏のこの発言は、長年、米国側で主流だった「日本抑えつけ論」への批判だとも言えよう。米国においても、日本を普通の国、信頼できる国と見なして自衛の権利を正規に認めるべきだという意見が出てきたということでもある。

ところが肝心の日本側に、日本危険論、日本性悪論がなお消えていない。
日本という国家や日本人という民族は遺伝子的にも侵略性が強いのだという前 提に立つ歯止め論であり、暴走阻止論なのだ。
日本の一部で声高に語られる集団的自衛権の行使容認への反対論は、そうした日本不信が土台になっていることを 再度、認識しておこう。(終わり)
杜父魚文庫

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