■恒久的な傷跡も=業界団体
対ロシア経済制裁で、ロシア天然ガスが欧州に入らなくなる懸念が強調されているが、もっと大きな問題はドイツを中心とする対ロシア貿易が阻害され、ロシア産業界や政治家の目は中国などのアジアに向かう可能性があることだ。
欧州の対ロシア貿易の規模はアメリアのそれの10倍の規模になっている。アメリカにとって痛くもかゆくもないロシア貿易の喪失であっても、欧州にとっては死活問題になる。早くもドイツの産業グループはロシアで事業を展開する独企業に及んでおり、欧州の産業に恒久的な傷跡を残すと警鐘を鳴らした。
<[ベルリン 16日 ロイター]ドイツの産業グループは独政府に宛てた社外秘文書の中で、対ロシア制裁による影響がすでにロシアで事業を展開する独企業に及んでおり、今後ロシアに対する経済制裁が発動されれば、ドイツだけでなく、欧州の産業に恒久的な傷跡を残すと警鐘を鳴らした。
同グループは、ロシアで事業を展開する独企業にサービスを提供する800社を代表する。
文書は「ウクライナ情勢をめぐる緊張の高まりや危機解決に向けた外交上の駆け引きによって、ロシアに進出したドイツ企業にすでに著しい影響が及んでいる」と指摘した。
西側諸国が経済制裁に踏み切れば、事業契約はロシア企業が取得し、ロシア政府が進めるプロジェクトが中止や延期に追い込まれるほか、ロシア産業界や政治家の目は中国などのアジアに向かうとけん制。業界グループが連携し、メルケル独首相に一段の制裁強化を踏みとどまるよう要請する可能性があることを示唆した。
さらに、ドイツおよび欧州企業の市場シェアの縮小や喪失が「長期的に持続し」、ロシアにおけるドイツの競争優位性が「修復不可能なダメージ」を被る恐れがあると警告した。(ロイター)>
杜父魚文庫
16089 対ロシア制裁がドイツ企業に影響 古澤襄

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