■中国メディア注目
<環球網など中国メディアは14日、ベトナムにロシア製の戦闘爆撃機、Su-34(スホーイ34)が納入された可能性があると報じた。世界的なSNSであるフェースブックに写真が掲載されたという。同記事は新華社、中国新聞社など、中国の主要メディアの多くが転載した。
ロシアのものと見られる大型輸送機から、別の機体がおろされる様子を撮影した写真が掲載された。機体尾部の特徴から、Su-34とみられるという。軍服を着て見守る人々は、アジア人と思われる。投稿者はベトナム人で、2月の撮影とされる。
ベトナム空軍は、主にロシアから機材を購入している。すでにSu-27、Su-30などの戦闘機を保有していることが知られていた。
Su-34の量産初号機は2006年10月に初飛行。ロシア空軍が運用を開始したのは2007年1月。空対空ミサイル(R-27系列、R-73系列など)、空対地ミサイル(Kh-59系列など)、空対艦ミサイル(Kh-35など)、誘導爆弾などの搭載が可能とされる。
フェースブックに掲載された写真は、軍事施設内で撮影されたと考えられる。ベトナム当局があえて、世に出回らせた可能性もある。
◆解説◆
ベトナムは1945年のベトナム民主共和国(北ベトナム)成立以来、ソ連・ロシアと良好な関係を維持した。1975年に南ベトナムに勝利して国土を統一した後、中国との関係が悪化したこともあり、ベトナムはなおさらソ連に接近することになった。
ベトナムは1979年から2002年まで、南シナ海に面した良港であるカムラン湾をソ連海軍(1991年からはロシア海軍)に提供した。中ソは1980年なかごろまで厳しく対立しており、中国はソ連の軍事力に南北からはさまれることになった。そのため、広西チワン族自治区や海南島に重要な産業施設を作ることができず、開発が遅れた。
ソ連やベトナムとの関係が改善し始めたことで、中国は1988年、海南島を広東省から分離して「省」とし、同時に全域を経済特区とした。ベトナムとロシアがかつてのように、“一体化”するような形で中国と軍事的に対抗することはほとんど考えられないが、ベトナムとロシアが接近することは、中国にとって「きわめていやなこと」と言ってよい。
ベトナムはパラセル諸島(西沙諸島)やスプラトリー諸島(南沙諸島)の領有権をめぐり、中国と対立している。同時に、ドイモイ(刷新)による経済発展を進めている。ベトナムにとって経済発展は支配政党である共産党への支持を強めるためにぜひとも必要であり、そのためには中国との関係を保たねばならない。
一方で、パラセル諸島近海に存在する石油・天然ガス資源はベトナム政府にとって大きな財源であり、中国によるパラセル諸島周囲での一方的な資源開発は、ベトナム政府にとって容認できないという事情もある。(サーチナニュース)>
杜父魚文庫
16108 ベトナムにロシア製の戦闘爆撃機「Su-34」納入か 古澤襄

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