16127 徐才厚についで郭伯雄(いずれも軍トップ)が事実上失脚か   宮崎正弘

■すべては薄煕来・周永康の汚職コネクションに連結していた
汚職取り調べが進むと芋づる式に共犯者が浮かんでくる。
四月に香港の中国ビジネス界に君臨した宋林が失脚した。宋林は香港で中国企業総会の会長というポストに座り、巨大国有企業「華潤集団」(16の企業グループで基幹は「華潤創業有限公司」)のトップとして君臨してきた。
中央規律委員会は、この宋林を4月17日に拘束したと発表し、香港社会を震撼させた。宋林は現香港行政長官の梁振英の背後にあって選挙を支援したことでも知られる。
容疑は「規律違反」としか発表されないが、資金蒸発の責任を取らされた格好で、180億香港ドル(2700億円)が消えていたからだ。
そこで筆者は前後の事件をしらべると山西省の怪しげな石炭会社の理財商品償還でデフォルト寸前といわれファンドに、ある日、突如としてスポンサーが現れ、デフォルトを回避させたという奇妙な事件との関連が浮かんだ。
実際に香港の華潤創業は、山西省の石炭企業「山西煤鉱」に巨額の「投資」をしていた。
宋林逮捕に連動して、今度はもっと大事件。前中央規律委員会トップで、政治局員だった賀国強が事実上、失脚したのだ。犯罪取り締まりのトップが汚職犯罪を握りつぶしてきたからで、筆者がよく比喩してきたように、中国では石川五右衛門と長谷川平蔵は「同一人物」なのである。
賀国強(当時中央規律委員会主任)は以前から捜査要請のあった宋林の取り調べを握りつぶしてきた。そればかりか第十八期党大会直前に、賀は「自分の後任に宋林を当てる」として高層部に画策し、当時規律委員会副主任だった何勇と馬駁から強い反対に遭っていた。
賀国強にはふたりの息子がおり、賀錦濤と賀錦雷は華潤集団の幹部として山西省鉱山にてこ入れしていたのだ。しかも二人の兄弟の妻子らはすでに米国に移住して、不動産ビジネスに手を染め、ホテル経営も展開していた。
賀国剛は人脈的に李鵬、曽慶紅に繋がり、本当の黒幕が誰であるかを物語っている。
 ▲芋づる式にでるわ、でるわ。過去の指導者らの悪行の数々 
賀の失脚後から李鵬一族、曽慶紅の子らのスキャンダルが一斉に吹き出しているが、注目は王兆国の息子、王新亮である。
王新亮は香港のファンド筋のインサイダー取引などに周永康の息子、周浜と組んで深く関与し、200億香港ドルの大穴を空けてマレーシアへ逃亡した。この事件は小誌も取り上げた。
周永康の自宅監禁状態はつづいており、外出はもちろん出来ず、彼を保護しきた軍トップの徐才厚は、北京301医院で末期の膀胱ガン。この「大虎」は事実上死んでおり、つぎに相棒で同じく第十七期中央軍事委員会副主席だった郭伯雄も連座失脚、泰城監獄につながれたという情報もある(香港雑誌『開放』、2014年5月号)。
徐と郭のふたりの軍トップは江沢民の引きで、成り上がった。
というのも、4月13日に広州で執り行われた前福州軍区副政治委員、王直の葬儀に現れず、また同月21日に行われた羅青長の葬儀にも出席しなかった。羅青林は人民解放軍で『反日』をほえる羅援の父親で軍特務の親玉として恐れられた存在だった。
中国のしきたりでは、序列通りに花輪が並び、出席者が公表されるから、その順番で実質のランクが分かる。郭伯雄は、これら重要な政治行事に出席できない物理的理由があったからだろう。
しかも郭は軍の巨額汚職で逮捕、有罪となった谷俊山の腐敗行為を黙認し、谷は全土に豪邸、そこに数十の美女をおいて情婦としていた。
こうして周永康―薄煕来―曽慶紅、李鵬、賀国強、宋林らが背後で一大汚職コネクションを構築して国富を横取りし私腹を肥やしていたという史上空前の腐食の構造が浮かんできた。まことにもって彼らの脳幹は腐食していたのだ。
   
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声) 貴誌前号、香港における太子党のぼろ儲けの有りようですが、中国の特権階級の実態にはおどろくばかりです。こういう腐敗した上層部をもつ国民こそ、可哀想で、中国の歴史を振り返っても王朝の末期には、幹部が腐るのですね。この中国王朝、宮崎さんの言葉でいうところの「共産党王朝」は、ホントにもう末期ではありませんか?(ねじまき太郎)
(宮崎正弘のコメント)ですから幹部は18000名が海外へ逃げ出し、持ち出したカネは一兆ドル。桁違いですね。日本の国家予算より多いカネが、すでに中国からなくなっています。
外貨準備高の3兆ドルだって、ほんとに有るのか、どうか。
中国の指導層は脳幹が腐食し始めています。エマニエル・トッド(フランスの人口学者)がいみじくも指摘したように、脳幹が腐り始めると、次の段階はどうなるか? 拙著近作『「中国の時代」は終わった』は、月末に上梓されます。
杜父魚文庫

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