■なぜ中国人民銀行(中央銀行)は1000トン超も買い増しをしたのか
2013年度の世界の金取引は3756トンだった。このうちの約三分の一、1000トンを超える購入は中国人民銀行だった。同行は中国の中央銀行であり、かつ法定通貨を発行管理する。同行は2013年に金価格が27%した時期をねらって連続的に購入していた。
金埋蔵は18万トン、年間取引される量は二割。この埋蔵と取引量のアンバランスが、時折、金価格を乱高下させる。
米国連邦準備制度(FED)とウォール街の主力金融機関のゴールドマンサックス、JPモルガンチェース、モルガンスタンレーなどもFEDとのあいだで金取引を展開しているが、その量は年間400-500トンのレンジである。
このビジネス形態はFEDが保有する金を民間銀行に貸し、金価格が上がれば買い戻すという構造である。
ところが中国人民銀行は、金を購入したまま手放していない。異様なのである。
香港の金融アナリストのなかには、「中国は金保有を高めることによって,FEDに無言の圧力をかけ、ドルの崩落を防ぐためにも金とのリンクを要求しているのではないか」とする観測があがっている。(WANTCHAINA TIMES、6月2日)
杜父魚文庫
16284 ウォール街が中国の異様な金(ゴールド)買いを警戒 宮崎正弘

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