16294 シリアの仇をウクライナでとる   古澤襄

ウクライナ危機は米国主導で起こしたのは間違いない。そしていまのところロシアは受け身の対応を迫られている。皮肉な言い方をすれば、シリアの仇をウクライナでとったということだろう。
表面的には、そのようにみえるが、子細にみると米国も一方的に喜んではおれない。
一番大きかったのは、ロシアに対する経済制裁が、これまでは模様眺めを決め込んできた中国を突き動かし、米国の覇権に楯を突く姿勢がみえ始めたことである。
ロシアのプーチン大統領が北京に駆け込んで来たのだから、中国も無碍に袖にするわけにはいかない。天然ガスの中ロ貿易量は対欧州の四分の一、その数字だけをみれば、ロシアの天然ガスが欧州八割の比率から、劇的にアジアに移るとはいえないが、政治的な意味合いは大きいといえる。
欧州がロシア市場を失うことに躊躇するように、米国も巨大な中国市場は失いたくない。人権問題で米政府は中国批判を繰り返すようになったが、制裁の具体的な行動はみせない。南シナ海で突出した行動を出ている中国に対して、警告はするが、阻止の具体的な行動は封印している。
ベトナム、フィリピンなどは隔靴掻痒の観があるだろう。それを中国はみている。さらに言うなら米国がウクライナ情勢にかかりっきりになることが望ましいと思っているだろう。
そのうちに東・南シナ海はだんだんキナ臭くなってくる。オバマがウクライナにかかりっきりに、いつまでもいかなくなる予感がする。頑なに拒絶してきた米ロ首脳会談に応じる可能性がある。
杜父魚文庫

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