16349 中国の経済停滞は対外パワーを抑えるか   古森義久

中国の指導層が自国の対外膨張をどう考えているか。なにがその阻害要因だとみているのか。
アメリカ国防総省がみた中国共産党首脳の長期戦略の報告を続けます。
<中国の首脳陣が憂慮する6つの難題米国防省が中国の「弱み」を指摘>
同報告は次のように記す。
習近平政権の中国共産党首脳陣は、現状を、自国が経済発展、領土保全、国内安定などを強化する戦略的な機会と捉え、そのための主要手段として軍事力を強化している。
しかし、現在は好ましく見える安全保障環境も、いくつかの要因によって自国の戦略的な発展が阻害される恐れがあることを懸念している、というのだ。
同報告が挙げるそれらの要因とは以下の6点である。
【経済成長の鈍化】
中国の首脳陣は、自国経済の堅固な発展の継続こそが社会の安定、そして対外戦略の基盤だと見ており、経済の破綻や停滞は、対外的なパワーの拡大にも重大な支障となると懸念している。経済成長を阻害する可能性がある要因としては、第1に投資と輸出への過度の依存状態から抜け出せないことが挙げられる。第2には世界の貿易パターンの変化、第3に国内資源の制約、第4に賃金の値上がりと労働力不足、第5にはエネルギーなど海外の資源が入手しづらくなることなどである。
【ナショナリズムの危険性】
中国共産党や人民解放軍の指導層は、共産党の統治の正当性を支え、国内の党への批判を抑えるために、ナショナリズムを一貫して利用してきた。諸外国との対話を拒むうえでも、ナショナリズムをその理由にして、利用してきた。ところがナショナリズムは首脳陣にとって諸刃の剣となりうる。対外戦略上、柔軟な政策を取りたくても、国内のナショナリズムの高まりで、逆にその制約を受けてしまう危険があるのだ。
【東シナ海、南シナ海をめぐる緊張】
東シナ海をめぐる日本との緊張関係、南シナ海をめぐる複数の東南アジア国家との緊張関係は、中国の周辺の地域や海域での安定を崩すことになる。中国と対立する各国は、米国のアジアでの軍事プレゼンスの増大を求める。さらには、それら各国が独自に軍事力を強める可能性や、米国との軍事協力を強める可能性もある。こうした可能性が現実になれば、いずれも中国に対抗する軍事能力の増強につながり、中国の軍事力を相対的に弱めることとなる。(つづく)
杜父魚文庫

コメント

  1. takayama より:

    中南海の動きは資金の動きを追っていくと面白いですよ。
    先週、沖縄に取材に行きました。中国人の観光客は情報関係の方がいますね。本音は南沙にあっても尖閣で日本にプラント作られると困る、そんなところでしょうか・・・。
    アナログの情報収集作業はどの国も同じで、向こうから接近してきます。面白いですね^^ 意外なことに医療の方面からの中南海幹部の情報ありますよ^^ 
    フリージャーナリストtakayama

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