16355 イラン、イラクに派兵   古澤襄

■対アルカイダ系武装勢力戦を支援
中東地図に「スンニ派」と「シーア派」の戦闘という新しい要素が加わった。イスラム教スンニ派武装組織の攻撃に、シーア派のイラク政権は、同じシーア派イランから「革命防衛隊・クッズ旅団」の派兵・支援を受けた。ともにアルカイダ系武装集団ISISと戦っている。
そこに米国のオバマ政権は、アルカイダ系武装勢力に対する空爆も辞さないとオバマが示唆した。米国、イランがイラク支援のために足並みを揃える可能性と米ウォール・ストリート・ジャーナルは皮肉な論評を掲げている。
イランと犬猿の仲であるイスラエルやサウジアラビアは、思ってもみなかった急展開であろう。
<【ベイルート】イランは、イラク政府軍を支援し、イスラム教スンニ派武装組織に制圧されたイラク北部の主要都市ティクリートを奪還するため革命防衛隊を動員した。イランの安全保障関係筋が明らかにした。
派兵されたのは、革命防衛隊のうち海外での活動にあたる「クッズ旅団」。この関係筋によると、同旅団の3部隊が、イスラム教シーア派が多数を占めるマリキ政権の政府軍支援を始めたという。
イラクとイランの安全保障関係者によると、イラク政府軍とこのイランの部隊でティクリートの約85%を奪還した。ティクリートは処刑されたフセイン元大統領の出身地だ。

また、イランの部隊はイラクの首都バグダッドの防衛を支援する一方、アルカイダ系の「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の攻勢にさらされているシーア派の聖地ナジャフとカルバラの防衛も援護している。スンニ派であるISISによる今回の攻勢は、2003年の米国主導のイラク侵攻に続く混乱以来最悪の武力衝突を引き起こしている。
シーア派が権力を握るイランは、イラクとの国境付近に軍を派遣している。イランのある陸軍幹部によると、イラクの過激派武装集団が国境から100キロ以内に迫ってきた場合は攻撃することをイラク政府に約束しているという。
イランはまた、今回の派兵でイラク政府軍の戦況が好転しなかった場合は、現在シリアにいるイラン軍の部隊をイラクへ転戦させることも検討している。
一方、イラク政府は、米国による反政府勢力への空爆を容認することを示唆するとともに米国が約束した兵器の提供を早めるよう要請した。
これにより、イラクとシリアを含むイスラム国家建設をめざすISISに対するイラクのマリキ政権の戦いを米国とイランがともに支援する可能性が高まっている。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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