16447 中国のシャドーバンキングは500兆円規模の潜在的不良債権   宮崎正弘

■借金のトータルはGDPの220%、世界最悪とフィナンシャルタイムズ
2006年、米国最大の会計監査法人「アーンスト&ヤング」は中国当局に依頼されて、決算報告書などを精査し、「正直」に数字を報告したところ、報告者は隠され、同社は中国から追い出された。
これは「事件」である。
アーンストヤングは中国銀行システム全体の不良債権は西側の計算方式で見積もれば、2006年時点で、9110億ドル(93兆円弱)になるだろうと推計したのだ。八年前のことである。
筆者はそのことを何回か拙著などでも報告したが、日本のマスコミは殆ど無視した。中国にとって「不都合な数字」の公開は「まずい事態」で、なぜなら多くの中国国有企業は決算報告をごまかして、株式を上場する直前だったからだ。
目論見書を提出しバラ色の事業計画を投資家に配布し、巧妙に増資を続けたのが中国の国有企業だった。しかも、その目論見書の計画は殆ど実行されず、あつめたカネは「蒸発」した。
西側の多くのエコノミストが警告するように中国の金融システムは崩壊前夜である。
2007年以来、中国のシャドーバンキングが供給した資金はおよそ4兆8000億ドル(500兆円弱)と推計される(フィナンシャルタイムズ、アジアタイムズなどの報道)。この数字は中国のGDPの87%に相当する。
2002年から2007年の五年間でも中国の資金供与は、米国のそれの二倍。地方政府の「融資平台」が一万社あり、この機関が銀行から借りまくった資金はGDPの31%に達した。
かくて中国の金融システムが抱える借金はGDPの220%に及んだ。
杜父魚文庫

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