■ロイターがMatthew Rojansky and Kenneth Yalowitzのコラム
[25日 ロイター]緊張状態が続くウクライナ情勢をめぐり、ロシアと西側諸国は再び対立している。欧州域内外の安全保障や安定と繁栄をめぐる基本的ルールは危機に直面しており、それを指して「新冷戦」と呼ぶ専門家もいる。
しかし、ここで見落としてはならない重要な事実は、東西両陣営とも、国民は対立が続くことをまったく求めていないということだ。
ウクライナ問題をめぐる世界の注目は主として、米国のオバマ大統領、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、ドイツのメルケル首相の動きに集まっている。プーチン大統領が強硬姿勢を示すのは、国民の支持を得るためでもある。しかし、ロシアの国民が「新冷戦」を望んでいるのかどうかという視点も忘れてはならない。
ロシアは民主主義国家ではないだろうが、旧ソ連のような全体主義国家でもない。プーチン大統領の「独裁主義的ポピュリズム」は裏を返せば、権力の維持には世論の支持が不可欠であることにほかならない。
ロシアがクリミア併合を強行して以降、プーチン大統領の支持率は急騰して80%以上に達した。同時に、ロシア国内で反体制派の声は事実上かき消されている。ロシア国民のうち、教育水準が比較的低く、より保守的かつ国家主義的な層は、プーチン大統領の攻めの姿勢を熱狂的に支持している。
世論調査機関VCIOMによると、ロシア国民の半数以上は、現在の西側との関係は「緊迫の一途であり、不信感に基づいている」と考えている。ただ、このこと自体は目新しいものではない。北大西洋条約機構(NATO)の東側への拡大や、西側のコソボ独立支持、旧ソ連圏で起きた一連の政権交代、いわゆる「色の革命」を通じ、ロシア国民の間では以前から、西側がロシアの弱みに付け込んでいるという意識が高まっていた。
ただ、こうした反西側感情を持続的対立への支持に結びつけるのは早計というほかない。確かに、ロシアの別の世論調査機関レバダセンターは、国民の反米感情は20年来の水準まで高まっていると報告している。しかし、VCIOMとレバダの調査ではともに、ロシア国民の約3分の2が西側からの孤立は「あり得ない」と考えていることも明らかになっている。
最終的には、安全保障や貿易関係、人権問題を含むあらゆる側面で幅広い対話を続けなくてはならない。米国とロシアが2009年に創設した2国間大統領委員会は(今は休眠状態だが)、政府当局者だけでなく、シンクタンクや大学、市民団体や企業も巻き込むべきだ。こうした取り組みの1つ1つが、今も西側とのつながりを重んじ、さらなる対立や孤立への道に反対する多くのロシア人の希望をつなぎとめておくことになる。
*筆者の1人、マシュー・ロジャンスキー氏は、ウィルソンセンターのケナン研究所でディレクターを務める。もう1人のケネス・ヤロウィッツ氏は、ウィルソンセンターの上級研究員で、かつてベラルーシとグルジアで米大使を務めた。(ロイター)
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16465 「新たな冷戦」めぐるロシアの本音 古澤襄
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