16469 日朝局長級会議など   西村眞悟

七月一日は、富士山の山開きだ。昭和四十年代前半、富士山の麓の御殿場で、八十歳代の屈強な赤銅色の老人とともに約二週間過ごした。
この人は、富士山の強力(ごうりき)だった。若い頃、一日に富士山に荷物を担いで六回登ったと言っていた。驚くべき体力だなあと、二十歳の私は驚嘆した。
その前、和歌山の由良で、寺の土砂崩れの参道を泥を取り除いて修復する作業に参加した。
この寺は開山興国寺、高校三年の時、五十日間ほど座禅の修行をした(おかげで、大学は一浪して入学した)ので、それからいつもふらりと泊まりに行っていた。
土砂崩れ修復作業には、付近の村から七十歳から八十歳代のお年寄りが手伝いに参加していた。お百姓さん達だった。朝から始まった作業だったが、二十歳の私は昼飯前にへとへとになった。しかし、お百姓さん達は、全くペースを変えることなく、夕方まで作業を続けて参道を元に戻した。
振り返れば、富士山の強力や和歌山のお百姓さんは、日露戦争の時には二十歳の方々である。
昨日、百歳と九十歳の方々の台湾とシベリヤ訪問、そして、台湾高砂族の元日本軍兵士を紹介したが、私は、二十歳の時に接した御老人達の体力を知っているので、日露戦争、大東亜戦争における日本軍の強さは、敵軍を驚嘆させるものだったと実感できる。
アメリカはバターン半島を歩かされたと非難するが、日本兵にとっては、歩くことは当たり前のことである。
日露戦争のロシア軍は、日本軍の攻撃が三日間にわたって途切れることなく続くので、日本軍は有力な予備軍を持っていると判断した。しかし、日本軍に予備軍は無かった。一人一人の兵士が眠ることなく三日間戦い続けていたのだった。
以上は、富士山の山開きから、心に浮かんだ思い出。
さて、日朝局長級会談が開かれる。今までこのことについて書かなかったのは、北朝鮮は、日本国内の意見、世論の動向を注視して「騙す手立て」を工夫するからだ。
 
私は、先日の堺での国政報告会において、北朝鮮との交渉担当者は、外務省では弱い、大阪府警の捜査現場たたき上げの部長を出すべきだと言った。
何故なら、キャリアではない現場の刑事なら、犯人が「自分のやったことを調査します」と言っただけで、それに飛びつき、制裁を解除するなどという約束はしないからだ。
刑事ならこう言うだろう。「犯人のお前が、いまさら調査だと、なめるなよ、お前のしたことはお見通しだ。さっさと、日本人を出してこい、話はそれからだ」
とはいえ、日朝協議が始まる。そこで、只一つだけ言っておきたい。
 
仮に北朝鮮が数名の拉致被害者を「発見した」と公表してきたとしても、それは、その数名の帰国に日本世論の関心を集中させて、公表しない多くの拉致被害者から関心を逸らし、十一年前と同様に拉致問題は終わったこととして、葬り去ろうとするためである!
よって、北朝鮮が「言うたこと」よりも、「言わないこと」に関心を集中させて欲しい。
次に、本日朝七時半に、自民公明が自衛権に関して合意したらしい。しかし、これは彼らの儀式でありニュースとして扱うこともない。
再度言っておく、重要なのは、五月十五日の安倍晋三内閣総理大臣たる自衛隊最高指揮官の、集団的自衛権の行使表明である。いざとなったら、自衛隊を与党内協議で動かしてはならない。自衛隊は、最高指揮官のもとで動く。
杜父魚文庫

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