■3日最終判断へ…政府
政府は1日に北京で行われた日本と北朝鮮の外務省局長級協議で、拉致被害者らを再調査する北朝鮮の特別調査委員会について説明を受けたことを踏まえ、3日の関係閣僚会合で対北朝鮮制裁の一部解除を最終的に判断する方針だ。
日朝協議で6月29日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議したにもかかわらず、北朝鮮は2日、再びロケット弾とみられる物体を日本海に発射した。政府はこうした北朝鮮の行動も踏まえ、制裁解除の是非を慎重に判断する。
日朝協議に出席した外務省の伊原純一アジア大洋州局長ら日本側代表団は2日午後に帰国し、同日中に岸田外相、安倍首相らに協議内容を報告する。特別調査委についての北朝鮮側の説明に関し、伊原氏は「丁寧な説明があった」としており、北朝鮮側から構成や責任者の詳細を伝えられたとみられる。(読売)
■国家安全保衛部の調査委入りが「進展」のカギ
日朝協議で北朝鮮から説明があった拉致被害者らの安否について調べる特別調査委員会。「組織、構成、責任者などについて丁寧な説明があった」(外務省の伊原純一アジア大洋州局長)という。どんなメンバーであれば、拉致問題の進展につながるのか。専門家は国家安全保衛部の幹部が入っていることが一つの鍵とみている。
「北朝鮮が存立しているのは保衛部があったからこそだ」。北朝鮮に詳しいジャーナリストの恵谷治さん(65)は保衛部の力の強さをそう説明し、「保衛部のしかるべき人間が入っていないと(拉致問題は)進まないだろう」と話す。
恵谷さんによると、保衛部は秘密警察として、北朝鮮の組織や国民を監視。金正日総書記が長く部長を兼任し、現在も北朝鮮のトップである金正恩第1書記が直轄しているという。
日本人拉致に関しては、朝鮮労働党対外情報調査部の工作員らが実行。工作員としては地村保志さん(59)、富貴恵さん(59)夫妻らを拉致した辛光洙容疑者(85)=国外移送目的略取容疑で国際手配=らが知られる。
一方、保衛部は拉致被害者の管理を担当。関西大の李英和教授(59)によると、平成14年9月の小泉純一郎首相(当時)の訪朝までは、各工作機関が拉致被害者を管理したが、それ以降は保衛部で所在を一元管理するようになった。李教授は「誰がどこにいて、何をしているかを一番知っている立場にあり、拉致被害者だけではなく日本人妻など日本人全般について情報管理している」と話す。
調査委に関しては、トップにどういう肩書の人物が就くのかが注目される。さらに調査委に付与される「特別の権限」などについて、北朝鮮がどのような説明をしたかが焦点で、李教授は「それなりのメンバーが入っているから『権限がある』とうのみにすると危険だ」と指摘している。(産経)
■北朝鮮、拉致調査の態勢説明=制裁解除、3日判断?政府
【北京時事】日本と北朝鮮は1日、北京市内で外務省局長級協議を行った。北朝鮮側が、日本人拉致被害者らの包括調査に向け設置する特別委員会の構成や権限について説明。日本側は、金正恩第1書記に直結する顔触れが含まれ、実効性のある調査が見込める態勢になっているか慎重に見極める。
協議には日本から伊原純一アジア大洋州局長ら、北朝鮮から宋日昊・日朝国交正常化交渉担当大使らが出席し、午前と午後で計4時間半行われた。
北朝鮮側が日本独自の制裁措置の解除に向けた準備状況を尋ねたのに対し、日本側は解除する場合の内容や手続きを説明した。日本側は、北朝鮮による6月29日の弾道ミサイル発射について「日朝平壌宣言や累次の国連安保理決議に違反している」と抗議。核開発の中止も要求した。
伊原氏は協議後、調査委の構成メンバーや責任者について疑問点をただしたと記者団に明かし「宋大使から丁寧な説明があった」と語った。ただ、具体的な内容や評価は「本国に持ち帰り、政府首脳に報告する」として詳しい言及を避けた。制裁解除など今後の対応については、弾道ミサイル発射も勘案し「政府全体で総合的な判断が行われる」との見通しを示した。
伊原氏は協議結果を2日夜に安倍晋三首相に報告する。首相は3日に関係閣僚を集め、先の日朝合意に沿い独自制裁を部分解除するかどうか最終的に判断、自ら結論を発表する。解除する場合は、4日の閣議で正式に決める運びだ。(時事・米ウォール・ストリート・ジャーナル)
杜父魚文庫
16480 北朝鮮制裁の一部解除めぐり 古澤襄

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