■2016米大統領選 オバマとの違いを際立たせ
2016年米大統領選で民主党の有力候補とみられているヒラリー・クリントン前米国務長官が、オバマ大統領と距離を置き始めている。共和党との協調路線を示唆し、世界的な危機に対して積極的な姿勢を示しているほか、米国経済の回復についてはオバマ氏よりも慎重な言い回しに終始している。
クリントン氏は先週、コロラド州でのイベントで、米国民が将来に対して「本当に神経質になっている」と話した。この日の講演では、自分はオバマ大統領よりも効果的に民主党の政策目標を実現できるというメッセージがちりばめられていた。そこからは大統領選に臨むクリントン氏の戦略が浮かび上がってくる。
クリントン氏は「(米国民は)経済が自分自身や家族を支えるほど十分回復したとは思っていない」と指摘した。一方のオバマ大統領は、3日に発表された米雇用統計の内容を歓迎する姿勢を示し、米議会が「一時的にでも、政治を脇に置く」意思を示せば、米国経済は一段と前進すると述べた。
第1期オバマ政権で国務長官を務めたクリントン氏は、オバマ大統領を批判しているわけではない。大統領との違いを際立たせるコメントは遠回しに述べられることが多い。
ただ、クリントン氏が公共の場で最近発した口調や発言の中身には、同氏が大統領になった場合でも、事実上の「第3期オバマ政権」にはしないという意思が明確に反映されている。この戦略は、ヒラリー氏が大統領選出馬を決めた際に直面する難問の解決に役立つだろう。民主党員やオバマ支持者を排除することなく、オバマ氏との違いを明示できるからだ。
同じく2016年の大統領候補と目されるジョー・バイデン副大統領にとって、クリントン氏のようなバランス戦略を取るのは難しいだろう。バイデン副大統領は政府や国内外の政策に深く関与しているため、大統領選のキャンペーンを開始しても独自路線を歩むのが非常に困難になる。
政権与党からの候補者は、現職大統領を擁護するかどうか難しい選択を迫られるのだ。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
杜父魚文庫
16525 ヒラリー氏、オバマ大統領と距離置き始める 古澤襄

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