■民主は政権批判強める
集団的自衛権行使を容認した閣議決定の後、初めての大型地方選挙となった13日の滋賀県知事選は、自民、公明両党推薦の候補が民主党が実質支援した元衆院議員に敗北した。賛否が割れる中で憲法解釈の変更に踏み切った安倍晋三首相の判断に逆風が吹き、政権は冷や水を浴びた形だ。
「この瞬間から、反省、教訓、改善に直ちに取り掛からなければならない」。自民党の石破茂幹事長は13日夜、滋賀県知事選での敗北を受けて東京都内で記者団に対し、態勢の立て直しに全力を挙げる考えを強調した。
選挙戦で政府・与党は、菅義偉官房長官や石破氏、公明党の井上義久幹事長らが現地入り。与党推薦候補の苦戦が伝えられる中、県総支部レベルで自公推薦候補を支援した日本維新の会の橋下徹氏(大阪市長)に対して菅長官が滋賀入りを要請するなど、総力戦を展開した。
しかし、選挙期間中の1日、政府は集団的自衛権の行使容認を閣議決定。慎重だった公明党を押し切ったことで、公明党の動きが鈍ったとの指摘もある。国会や東京都議会で自民党議員によるセクハラやじが相次いだイメージダウンもあり、同党幹部は「無党派層がどんどん離れていった」と敗因を分析した。
今後も、10月の福島県知事選や11月の沖縄県知事選、来春の統一地方選が続く。公明党幹部は「これから世論の不安を払拭(ふっしょく)できるかが鍵だ」と指摘した。
一方、民主党の馬淵澄夫選対委員長は大津市内で記者団に「上から目線のアベノミクスや専横的な政権運営への反発を強く感じた」と指摘。首相の政治姿勢への不信感が結果に直結したとの認識を示すとともに、「こうした不満の受け皿となるよう、民主党が中心に立ちたい」と訴えた。14、15両日に開かれる衆参両院予算委員会の集中審議で民主党は、海江田万里代表自らも質問に立ち、政権批判を強める方針だ。
同党では、海江田代表の求心力の低下が続き、31日にはこれまでの党運営を総括するための両院議員懇談会を予定する。依然として代表選前倒しを求める声がくすぶっているものの、滋賀での勝利を受けて同党幹部は「大きな成果で、海江田体制に追い風だ。当然、代表続投となる」との見通しを示した。(時事)
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