16584 中国けん制の狙いも    古澤襄

■岸田外相が旧ソ連圏歴訪
【ビシケク時事】岸田文雄外相は16、17両日、中央アジア・キルギスとウクライナを訪問する。ロシアによるクリミア半島編入後、日本の外相がウクライナを訪問するのは初めて。クリムキン外相らとの会談で、ウクライナへの支援姿勢を鮮明にするのが主眼。
キルギスなど中央アジア諸国はエネルギー、ウクライナは武器輸出を通じて対中関係が深まっており、地域への影響力を強める中国をけん制する狙いもある。
キルギスでは中央アジア5カ国との外相会合に出席。この枠組みには、上海協力機構(SCO)に非加盟の資源大国トルクメニスタンも参加している。日本から見て中国の背後に位置する5カ国に対し、岸田外相は尖閣諸島問題などを念頭に「力による国境線の変更は認められない」との立場を強調する見通しだ。 
ウクライナでは昨年8月の訪問時に続き、中国への武器輸出に懸念を伝える可能性がある。中国は旧ソ連製空母やホーバークラフト式揚陸艦をウクライナから調達。ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)はウクライナの軍需産業に依存してきたが、関係悪化で技術がロシアの管理を離れつつあり、中国などに渡る事態となれば看過できない。
4月に予定されたロシア訪問が実現しないまま岸田外相が旧ソ連諸国を訪れることに、ロシア側から不満の声も漏れる。ただ、日本が注力する(1)アフガニスタンから中央アジアへの麻薬流入対策(2)ウクライナの軍事技術流出防止-はロシアの国益に合致。むしろ日ロ関係の深化にもつながり、対ロ批判一辺倒という展開にはならないとみられる。(時事)
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました