16595 BRICS銀行、はたしてうまくいくのか    宮崎正弘

■初代総裁はインド人、主導権は中国。露西亜は不快感
ブラジルで開催された第六回BRICSサミット。正式にBRICS銀行の設立が決められたが、はやくも不協和音が聞こえてくる(加盟国は頭文字順にブラジル、ロシア、インド、チャイナ、南ア)。
本店は上海に置かれる。主導権が中国にあることは明らかだ。
あたかも「アジア開発銀行」は本店がマニラにおかれ、歴代総裁は日本人。ちょうどIMF・世銀の人事バランスに似ている。出資比率に応じた配分がある。ところがBRICS銀行は各加盟国がなかよく100億ドルを出資するのである。
となればロシア、ブラジル、南アがいずれ中国に文句を付けるだろう。インドは、当面、中国と経済的関係だけは増加させたい考えだが、もともとインド中国関係は水と油。うまく行くとは考えにくい。
インドは総裁ポストを得た手前、「二年以内に新銀行は軌道に乗る」と高らかな楽天論を展開(ザ・タイムズ・オビ・インディア)。
しかし欧米マスコミは冷淡で、英紙「ファイナンシャル・タイムズ」などは、出発時点での不協和音を力調し、うまくいくのかと懐疑的である。
ましてこのBRICS銀行は、米英主導のIMF・世銀体制に正面から挑戦するわけだから、面白くないのは米国で、NYタイムズなどは不快感丸出しの論調。ひややかに事態を見ているのが日本という構図だろう。
杜父魚文庫

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