16609 マレーシア機、ミサイルで撃墜     古澤襄

■ロシア側関与か 米ウォール・ストリート・ジャーナル
アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空ボーイング777型旅客機が17日、ウクライナ東部ドネツク州上空を飛行中に墜落したことについて、米情報機関は地対空ミサイルによって撃墜されたことを確認した。
米情報機関の間では、ミサイルを発射したのがロシア軍か、親ロシア派分離主義勢力のいずれかについては見解が分かれている。ただ、親ロシア派分離主義勢力が飛行中の民間機を独力で撃墜できる能力はないと見られている。
ある米当局者は「すべての道はある程度ロシア人に帰結する」と述べた。
プーチン・ロシア大統領は「この領土が平和であり、ウクライナ南部で軍事行動が取られていなかったならば、この悲劇は起きていなかっただろう」と述べた。
一方、オバマ米大統領は「恐ろしい悲劇だ」とした上で、ウクライナのポロシェンコ大統領に対し、墜落現場の保全を求めた。
マレーシア航空によると、墜落したのは17便で、ロシア・ウクライナ国境から約50キロメートル(30マイル)離れたところで連絡が途絶えた。同機は17日正午ごろアムステルダムを出発し、18日未明にクアラルンプールに到着する予定だった。
ウクライナの国家航空管制局は、乗客・乗員295人を乗せた同機が墜落したことを確認し、特別調査委員会関係者を現場に急行させたと述べた。
ウクライナ内務省顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏によると、同機は、高度約1万メートル上空を飛行中、ドネツク州のHrabove村近くに墜落した。
墜落を受けて、直後からその原因に対する憶測が飛び交っている。過去数カ月間、ウクライナ軍は、親ロシア派分離主義者を鎮圧しようとしてきた。分離主義者勢力は4月に東部の町を占拠し、共和国として独立を宣言した。今週、一段と戦闘が激化しており、ウクライナ当局は軍用貨物機1機とジェット戦闘機1機がこの地域で撃墜されたと発表している。
今回の墜落は、マレーシア航空にとって悪夢の再来だ。3月には同航空の別のボーイング777型機がクアラルンプールから北京に向かう途中、消息を絶った。現在も行方不明のままで、世界的なミステリーになっている。
ウクライナ東部の墜落現場で地元の人によって撮影された映像は、日没前に野原から巨大な灰色の煙が立ち上っているのがわかる。その後の映像には、ウクライナの消防隊が飛行機の残がいに放水している場面が写り、乗客の持っていたパスポートや航空券のほか、墜落現場近くでそのままになっている遺体の断片もあった。
同機墜落直後から、非難の応酬が始まった。前出の内務省のゲラシチェンコ氏は電話で、親ロシア派反政府勢力がロシアとの国境近くのスニジュネー近郊に地対空ミサイル装置を設置していたと主張した。

同氏は「彼らは明らかに、自分たちが攻撃の標的にしているのが軍の輸送機だと考えていた」と述べ、「(マレーシア機を)撃墜したのは彼らだ」と語った。ただし、同氏の主張が事実だとは確認されていない。
ゲラシチェンコ氏はフェイスブックの投稿で、分離主義者たちは「Buk」地対空ミサイルシステムを入手しており、それが17日日中にスニジュネーとトレーズの町近くを移動していたのを地元住民が目撃していると述べた。そして、マレーシア機が17日午後遅くに墜落する約1時間前に、墜落現場からそれほど遠くないシャフチョルスクという町に地対空ミサイルを積んだ輸送部隊が向かっているのが目撃されていたと述べた。
しかし、分離主義勢力指導者は17日、高度1万メートルもの上空を飛行するボーイング777型機を撃墜できるほど強力な地対空ミサイルシステム、例えば「Buk」システムを入手していた事実はないと強く否定した。
例えば分離主義者の宣言したドネツク人民共和国の指導者の1人Sergei Kavtaradze氏は、ウクライナ軍がマレーシア機を撃墜したと非難した。
同氏はインタファクス通信に対し、「マレーシア機はウクライナ政府陣営によって撃墜された」と述べ、「われわれは、その種の防空システムを所有していない」と語った。
ウクライナの大統領と首相は、この墜落について、誰の仕業か直ちに指摘しなかった。
ヤツェニュク首相は、マレーシア機墜落の原因と、今週同じ地域で墜落したウクライナ軍貨物輸送機とジェット戦闘機の原因も併せて究明するため、特別調査を指示した。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)
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