■読売新聞が社説で論評
歴史問題で一方的に日本を非難する反日姿勢に変化がなかったことは、残念である。
韓国の朴槿恵大統領がソウルで、東京都の舛添要一知事と会談した。
朴氏は、日韓関係の悪化について「一部政治家の言動」が原因だと強調した。関係発展には「正しい歴史認識」の共有が必要だとも語った。安倍首相の歴史観を批判する持論を繰り返したものだ。
朴氏は、いわゆる従軍慰安婦問題について「普遍的な人権に関する問題だ」と述べ、その解決を最優先する考えも示した。
今回の会談に先立ち、安倍首相は「対話のドアは常に開いている」と日韓首脳会談を望むメッセージを舛添氏に託していた。だが、朴氏の発言は、慰安婦問題の解決などを首脳会談の前提条件とし続けたものと受け止められよう。
朴氏は、東京・ソウルの自治体交流構想を評価し、東京と平昌の日韓双方の五輪開催に向けて関係者が協力することも支持した。
しかし、朴氏が就任後、1年半近くも首脳会談を拒否している異常な状況下では、こうした交流にも限界があるだろう。
朴氏が会談で、「政治的に困難な状況になり、(日韓の)国民の心まで遠くなっていくようで残念に思う」と人ごとのように語ったことには違和感を覚える。
他国要人の前で日本を批判する朴氏の「告げ口外交」は、日本で強い反発を招いている。自らの責任をどう考えているのか。オバマ米大統領の仲介による3月の日米韓首脳会談を受けて、日韓の局長級協議が始まった。
韓国側は、慰安婦問題で日本の譲歩を求め、日本側は、韓国人元徴用工の訴訟問題などを取り上げたが、議論は進んでいない。
今月上旬には、ソウルのホテルが突然、自衛隊創設記念行事の開催を拒否する事態が起きた。韓国有力紙が行事を批判したのがきっかけで、ホテルに抗議が殺到したためだという。
朴氏が韓国社会に反日ムードを蔓延(まんえん)させた結果だろう。
看過できないのは、朴氏が歴史問題などで、中国との共闘姿勢を見せていることだ。習近平国家主席との会談では、最近の日本と北朝鮮の協議進展を警戒する点でも、足並みをそろえた。
日韓が連携すべき課題は、対北朝鮮政策のほか、日韓自由貿易協定、中国からの大気汚染対策など、数多い。朴氏はこのまま、日韓関係停滞の打開策を探らなくてもいいと考えているのだろうか。(読売)
杜父魚文庫
16676 朴・舛添会談 国民の心を遠ざけたのは誰か 古澤襄

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