■米情報当局、衛星写真4枚を公表
【ワシントン及川正也、和田浩明】マレーシア航空機撃墜事件に関連して、米情報当局は27日、ロシアからウクライナの軍部隊への越境砲撃や、ウクライナ内部で親ロシア派武装勢力がロシアが提供した重砲を使用している「証拠」だとする衛星写真4枚を公表し、対露批判を強めている。また米露の閣僚はウクライナ情勢を巡り協議したが、主張の隔たりが大きく、早期の事態進展は難しい状況だ。
写真はいずれも米国の民間衛星が、今月21〜26日にウクライナ東部のロシア国境地帯を撮影したもの。米情報当局の分析によると、25、26日に撮影された写真では、ロシア側に多連装ロケット砲をウクライナの方向へ向けて発射した痕跡が残っており、ウクライナの軍部隊付近にロケット砲の着弾痕があるという。23日にも同様の写真が撮影されていた。
ロシア側からの越境砲撃について、米統合参謀本部のデンプシー議長は24日、「他の主権国家内で軍事力を行使するというロシア政府の意識的な決断」であり、第二次大戦以来のことだと重大性を指摘、厳しく警告した。
ケリー米国務長官は27日、ロシアのラブロフ外相とウクライナ情勢について電話で協議した。米国務省高官によると、ケリー長官は、ロシア軍からウクライナ東部の親ロシア派地域への「重火器の搬入や、ミサイルや迫撃砲による攻撃」をやめるよう要求。同高官は、ロシアからの重火器が紛争に使用されていることを否定するラブロフ外相の主張をケリー長官が「退けた」と強調した。
これに対し、ロシア外務省は両外相がウクライナにおける早期の停戦と和平交渉開始について一致したと説明している。
一方でウクライナ東部では、政府軍と親露派の戦闘が激化している。27日には撃墜事件で多くの犠牲者を出したオランダとオーストラリアの調査団が墜落現場入りを予定していたが、持ち越しとなった。(毎日)
杜父魚文庫
コメント