16707 プーチン氏訪日、実現厳しく    古澤襄

■ロシアは日本の追加制裁非難
【モスクワ=佐々木正明】日本政府がウクライナ情勢をめぐりロシアに追加制裁を発動したことに対し、ロシア外務省は29日、「非友好的で近視眼的な歩み」で、2国間関係に損害をもたらすとする非難声明を出した。
日露両政府は、今秋に予定されるプーチン露大統領の訪日の可否に言及していないが、日本が欧米と足並みをそろえて対露圧力を高める姿勢を示したことで、訪日実現の可能性は厳しさを増している。

マレーシア機撃墜事件への対応を含むウクライナ情勢に関し、プーチン政権は日本に対し、欧米諸国と一線を画した独自の外交を期待していた。ラブロフ氏は28日、プーチン氏訪日の可能性はまだ残っているとの見解を示していただけに、29日の声明からは落胆と失望の色もうかがえる。
声明では、安倍政権のもとで積み上げてきた日露関係が大きく後退することを「日本側は自覚しなければならない」とも警告した。
ラブロフ氏はプーチン氏訪日の前提条件として、今春に延期された岸田文雄外相の訪露も促したが、これも実現はかなり厳しい。
今月上旬、エネルギー分野でロシアとの強化を望むイタリアのモゲリーニ外相がモスクワを訪問。対露包囲網が深まる中でもイタリアは対話の窓を閉めないという姿勢を示した。
しかし、関係筋によれば欧州連合(EU)の足並みを乱すイタリアの訪露は加盟国から非難され、モゲリーニ氏が最有力とされる次期EU外交安全保障上級代表の人事にも大きな影響を与えた可能性がある。
先進7カ国(G7)の協調を重視するという日本政府にとって、岸田氏の単独訪露は、欧米から大きな反発を浴びる恐れがある。
一方で、日本政府は8月に閣僚級をキエフに派遣することを計画するなど、ウクライナとの関係は着々と強化しつつある。(産経)
■ロ外務省 日本の追加制裁を批判
マレーシア航空機の撃墜事件を巡って、日本政府がロシアへの追加制裁を発表したことについて、ロシア外務省は29日、コメントを発表し、「追加制裁は2国間の関係全般に悪影響を与え、関係が後退するのは避けられない」として、強く批判しました。
ロシア外務省は、日本政府がロシアに対し一部の政府関係者の入国ビザの発給を停止するなど3項目の追加制裁を発表したことを受けて、29日、コメントを発表しました。
この中でロシア外務省は、追加制裁は「ウクライナ情勢を大きく間違って解釈していることに基づく、非友好的で短絡的な措置だ」と指摘しました。
そのうえで「日本がロシアとの関係改善を進めようとしてきたのは、アメリカに追従するばかりで独自の道を歩めないという日本の政治家の実態を覆い隠すためのものにすぎなかった」としたうえで、「制裁は2国間の関係全般に悪影響を与え、関係が後退するのは避けられない」として強く批判しました。
ロシアのラブロフ外相は28日、中国のテレビ局の質問に対し、「日本は昔からのよき隣国だ。これからも協力関係を強化していきたい」と述べたうえで、ロシアへの制裁を巡ってはアメリカに同調するのではなく日本が独自の立場をとるよう求めていました。
菅官房長官は午後の記者会見で、「コメントは承知しているが、わが国としては日ロ関係について国益に資するように進めていくというのが当然のことだ。そうしたなかで、プーチン大統領の訪日は現時点では何も決まっておらず、さまざまな点を総合的に配慮しながら検討していく。そのことに変わりはない」と述べました。(NHK)
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