16708 漢方薬をバカにするものではない    古澤襄

間もなく八月になる。三月から五ヶ月間いろいろなことがあった。体調を崩して長期入院をしたり、退院したら尿が出なくなって救急車で病院に担ぎ込まれたり、さらには一ヶ月間食欲不振と下痢で67キロの体重が59キロに激減したりで散々な目にあった。
昨日、総合病院の泌尿器科で診察を受けたが体重も66キロに回復していた。食欲不振は骨髄腫の治療で服用したレプラミドの副作用だったので、レプラミドの服用を中止した。八月七日に血液内科と腎臓内科の精密検査を受ける。
この総合病院で最先端の治療と薬を受けてきたが、やはり病気は本人の気力と体力維持が第一という気がする。
レプラミドはいずれ使わねばならないと思っているが、高血圧の薬は思い切って減らした。体重が60キロを切った時点で血圧は100~50、主治医に言わせるとこの方が危険だという。一ヶ月間、血圧降下の薬を減らした結果、140~80になった。
長期間の下痢症状を止めたのは何と漢方薬。以前、飲み過ぎで下痢が止まらない時に北海道新聞の友人が勧めてくれた屋久島原産のガジュツを主成分とした胃腸薬「恵命我神散」が残っていたのを思い出して飲んでみたらピタリと止まった。胃の痛みも嘘のように消えた。漢方薬といってバカにするものではない。
もっとも主治医には隠れて服用した漢方薬だから言うわけにはいかない。
少年時代に信州で育ったので、薬草や野草には一応の知識がある。フキノトウ、シソ、クズ、カリン、ゲンノショウコ、ニラ、ニンニク、セリ、ノビル、ダイコン、ゴボウ、ニンジン、レンコン、ヤマイモ、タケノコ、ラッキョウなどは薬効がある。
いまでもヤマイモを摺ってダイコン・オロシを乗せ、ノビルかネギを刻んで朝食のおかずにしている。ニラやセリのみそ汁も欠かせない。レンコンやタケノコの煮付けもわが家の定番。酒のつまみにはフキノトウの味噌和えが最高である。
愛犬バロンの散歩で住宅地から一歩出れば、田圃や畑のあぜ道が続いている。ノビル探しが目的だが、信州ではいっぱい採れたノビルもいまは少なくなった。ピリリと辛いが味噌をつけて食べるとネギよりも美味しい野草の味である。大都会ではこうはいかない。
私の身体が骨髄腫という難病に冒されながら、なかなかくたばらないのは、薬草や野草に親しんできたからではないか。「恵命我神散」のお陰で長期の下痢が止まって、その観を深くしている。
杜父魚文庫

コメント

  1. momo より:

    「ノビル」。私は見分けがつきません。今上陛下と皇后が皇居内を散策する様子をNHKがドキュメント放映したことがあります。その際皇后が「ノビル!」と呟いたのをマイクが拾いました。皇居内にもあるのでしょうか。皇后は少女時代長野に疎開されておりましたので、その経験からか識別がついたのでしょうか。また勤労奉仕で「松根油」の収集もされたそうです。そのお陰で健康な身体になったとか。男兄弟の中で育った関係で意外と“剛毅”な性格をお持ちのようです。

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