■大阪維新の会と自民党大阪府連をめぐる動き
来春の統一地方選をにらみ、大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)と自民党大阪府連が議員の処遇をめぐって火花を散らせている。6月に離党届を提出し、4日に新たな政治団体設立を届け出た3府議について、維新が“飼い殺し”にする一方、自民府連は同日、元維新市議の自民への復党を認めた。大阪都構想実現のために所属議員をつなぎ止めたい維新に、統一選に向けて候補者をいち早く確保したい自民。絡み合う2つの思惑は、双方の党勢を如実に示している。
■維新、処分を先延ばし“飼い殺し”戦術
維新からの離党を表明しながら認められない状況に業を煮やした沢田貞良氏ら3府議は4日、政治団体「大志の会」を設立したが維新は無視する構えだ。
3人は7月25日の臨時府議会で野党提案の議案の採決で造反。府議団団則では除名処分が相当だ。実際、昨年末から今年3月までに府議5人が造反したが、いずれも即座に除名された。
維新が処分を渋る背景には、党勢の低迷がある。相次ぐ離党で、府議会で維新は過半数割れ。3人の離党を認めれば、都構想実現の要となる府議会の議会運営委員会の維新による過半数維持も危うくなるからだ。
一方、自民府連は4日の党紀委員会で、6月に復党願を出した元維新市議、冨岡朋治氏の復党を決めた。
冨岡氏は平成22年6月に自民市議団を離団して維新入り。しかし、橋下氏の慰安婦発言などをきっかけに昨年6月、維新を離れた。今年5月には市議会の自民会派に入っている。
だが、委員会の議論は難航し、3回の会議でようやく復党という結論に至った。委員の一人は「3年前を思い出すと、復党は素直に受け入れられない」と打ち明ける。前回統一選では数多くの議員が自民から維新に移っており、裏切った仲間への恨みは深い。
とはいえ、来春の統一選まで1年を切り、自民側には「早く候補者を確保したい」(別の委員)との思惑もある。冨岡氏は自民から維新に移籍した議員の復党第一号。これまで、維新から複数の元自民議員が離党しており、他の議員に対しても復党を認める動きが加速するとみられる。
対する維新は反維新勢力の拡大を危惧する。復党のハードルが下がれば、さらに維新から流出する可能性がある上、離党組のほとんどが都構想関連議案に反対しているからだ。ただ打つ手がないのが実情で、ある維新幹部は「9月府議会までには(造反議員の)処分を決めざるを得ないだろう」と漏らす。(産経)
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