16804 書評『GHQの日本洗脳』    宮崎正弘

■日本人の精神がゆがんだ元凶はGHQの占領プログラムである。吉田松陰が「偉人」から削除され、ミンシュシュギが自虐的に強調された
<山村明義『GHQの日本洗脳』(光文社)>
副題に「70年続いた支配システムの呪縛から日本を解放せよ!」とある。
戦後の大混乱の元凶は指摘する必要もないがGHQである。こんにちも継続されている大混乱はすべて占領憲法と、その付随的なプログラムによる。
70年前に仕掛けられた日本人弱体化装置はまだ効果的に作用しているのだ。
GHQの一部門は出版を取り締まり、戦前からの伝統的良書7000冊を焚書処分とした。洗脳プログラムの「民主主義」なるものが日本男児を怯懦にした。武道は禁止され、臆病者と卑怯者が輩出されるシステムが確立されたことによって日本の矜持、品格が喪失された。GHQの手先となって突っ走ったのは教育現場の左翼教師と新聞である。それらに媚びようとした曲学阿世の文化人どもである。
教育プログラムは日本人の精神を脆弱にして、武士道がふたたび復活しないことを目的とした。
山村氏はこういう。
「GHQにとって、第二次世界大戦で米国と戦った日本人を教育によって『無力化』することは至上命令であった。今後も半永久的に日本人を従順にさせ、また『弱体化』にさせるためには、最初に日本人の教師や生徒を洗脳し、幼いことからの教育によって、『心理的側面』、つまり過去の思想を変える方法が一番効果的であると、GHQは考えた」のだ。
かくして教科書の書き直しが命じられ、実行された。
「学校教科書では『終戦に伴う教科書図書取り扱い方に関する件』に基づき、『GHQの下部機関』と化した文部省からの指導で、GHQにとって『不都合な真実』は、異なるものに書き換えられるか、または『黒塗り』されるようになった。例えば、教科書で教える偉人とされる人物は、戦前までの『楠木正成』『吉田松陰』『東郷平八郎』の三人が『豊田佐吉』『ガリレオ』『野口英世』に書き換えられた」のである。
歌舞伎はかろうじて生き延びたが「忠臣蔵」は外された。映画も同様であった。大東亜戦争が正しいという正統な映画は製作が禁じられた。
しかし歌舞伎は昭和22年から再開を許可されていたが、東宝、松竹などの自主規制により、「忠臣蔵」の上演再開は昭和26年
つまり「晴れて日本全国で上演できるようになったのは、占領末期の昭和26年のことだった」
このほかにも農業、医療、宗教がゆがみ、マスコミは「調教された」。だから自虐的になるのも当然である。
自立心が失われてしまった日本が、ようやくにして自虐史観から脱却しようとしているときに米国は首相の靖国神社参拝に『失望』したと表明した。それを金科玉条のごとく嬉々として伝えた新聞が、朝日新聞だった。筆者山村氏、畢生の労作となった。
杜父魚文庫

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