16849 クルド自治区の独立は西側のコンセンサスになりつつあり     宮崎正弘

■米軍のイラク空爆はクルド自治区の防衛にも宛てられている
優柔不断だったオバマ大統領がイラク北東部の空爆を命じた。FA18ホーネットが沖合空母から出撃しISISの軍事拠点をいくつか破壊した。まだ当該地域にいる米国人ならびに少数民族の避難場所を防御し、支援物資を投下した。
概括的にみれば、いずれもクルド族が支配する地域であり、米軍の介入はクルド自治区の防御が副次的結果を招いていることになる。(アメリカはクルド族地区の独立を促すつもりだろうか?)
おりしも8月10日に実施されたトルコ大統領選挙で、エルドガン首相が一回の投票で過半数を占め、次期大統領に当選した。
トルコ大統領選挙はフランス式で一回目に過半数を取れない場合、二回目に上位二人の決選投票となる。大方の予測ではエルドガンが初回に過半数とることはあるまいと言われた。三月の地方統一選挙でも西側マスコミは、エルドガンの苦戦を伝えていたが、結果は与党圧勝だった。
エルドガンは大統領選挙出馬に際して、選挙公約に「クルド人の独立をめぐる住民投票には反対しない」としてきた。
トルコは従来から山岳地帯にいるクルド族の過激派との武装闘争にあけくれてきたが、シリア危機勃発により、南側の脅威も拡大した。
しかもトルコ領内にシリア難民を百万人もかけて、治安に問題がでた。クルド族との一日も早い融和が政治課題に上っていたのである。
事実上の未承認国家「クルド」がもし、独立への歩みを開始すれば、キプロス、コソボ、クリミアなどの「未承認国家群」に識別されるか、或いは南スーダンや東チモールのように、すぐさま国際社会で「国家」と認定されるか? 
はやくもややこしい近未来が浮上したが、これはロシアにとってクリミア承認の取引材料となるかもしれない。
杜父魚文庫

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