16862 クルド視察団の情勢報告    宮崎正弘

(読者の声)わたしは現在、クルド自治政府首都エルビルにおります。8月2日より4日までの日程で松山政司前外務副大臣/参議院議員が団長となり、大沼みずほ議員、大野元裕議員がODA調査の公式訪問の準備のため先月29日よりクルドに滞在しています。この訪問は、松山議員が外務副大臣の時よりクルド情勢を報告し、同議員が幣協会名誉会長平沼赳夫先生及び頭山興助会長との協議の結果実現したものです。
当初、2日の到着予定でしたが、中央政府軍の空爆により、1日遅れ3日、4日の訪問となりました。
外務省は、国益の観点から、中央政府重視政策を採り、クルド側との人脈は、クルド自治政府外交部しか人脈しかありませんでした。他国は、バグダットが危険なためと石油外交のため領事館若しくは大使館を開設していました。
ISISのバグダット侵攻予告により 六月に日本イラク大使館は治安のよいクルドに領事館準備事務所をクルド市内のホテルに開設しました。
議員団の訪問に際し幣協会が閣僚との会見調整を大統領府と行い、クルド外交部と日本外務省を繋いでおりました。大統領は、前線慰問のため首都を留守にし、首相は渡米中であり、両首脳との会見は出来ませんでしたが、財務大臣。国会議長との会見や、歓迎会において、クルド国会議員政権与党KDP代表が観光大臣はじめ、中央銀行クルド代表、エルビル県知事、国立大学学長イラク国会議員、首相顧問など招いてくれました。同席したなしだ大使は、クルドの情報及び人脈を持たず。議員団、大使館は人脈形成が出来ました。
議員団帰国後、戦況が悪化しました。
今回、クルド境界のモスルにISISが侵攻始めたので、クルド軍ペシュメルゲがそれに対応したものです。首相が渡米したのは、武器の購入及び石油取引に関することです。マリキ政権は憲法を遵守せず、予算の配分を行ってきませんでした。
クルド側は、あくまでも憲法に基づいて予算配分17パーセント、石油取引においても配分率に基づいて行う交渉を中央政府と行ってきましたが、中央政府は。これを認めませんでした。中央政府が憲法違反をしていたのです。マリキ政権がフセイン政権同様独裁政治の結果分裂を招いて結果です。
クルド側は、予算配分も行われず、石油取引を認められなければ崩壊します。またフセイン政権崩壊後クルドが重火器を中央政府に変換させられ、ISISがモスルに侵攻し、ISISの残忍なプロパガンダに恐れをなし 中央政府軍は武器を放棄し逃げ出し、中央政府の重火器及び中央銀行の資金を手に入れました。
米国は、アルカイーダを作り、その残党が、ISISを生み、武力を持たないクルドに加勢するのは当然のことでしょう。
米国は、クルドに石油利権を有しています。フランス、イギリス、ロシアも同様です。石油利権の観点からも人道的援助及び武力支援を行うでしょう。昨日もフランスの外務大臣が訪れ、支援を約束しました。クルド側は、米国の空爆支援により攻勢に転じました。
クルド側は、歴史的にオスマン帝国とペルシャ帝国の板ばさみにあい、英国、フランスの分割統治で、居住地域を分断され、フセイン政権に抑圧され、また、マリキ政権に抑圧され、我々は、いつまで我慢すればよいのかといっています。
クルドは、民主政治を行い、宗教差別も民族差別もしていません。これに困る勢力、石油利権を持つ勢力などに翻弄され続けられています。今後もクルド問題に御注目ください。(クルド視察団) 
杜父魚文庫

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