【カイロ=久保健一、ワシントン=井上陽子】イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が、米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏とみられる人物を殺害する映像を公開したことについて、米国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官は20日、米情報機関が分析した結果、この映像は本物であるとの結論に達したとの声明を出した。
公開された映像では、オバマ大統領が、イラク北部にあるイスラム国の拠点への空爆を承認したと述べる場面が盛り込まれ、「米国はイスラム教徒との新たな戦争に突入しようとしている」との字幕も付いた。殺害が米軍によるイラク空爆に対する「報復」であることを強調し、オバマ政権を揺さぶる狙いとみられる。オバマ大統領は20日午後に声明を発表する予定で、殺害についての見解を述べると見られる。
一方、イスラム国は19日に別のビデオ声明も公開、「米国の十字軍を撃破する」などのメッセージを発した。「十字軍」は国際テロ組織「アル・カーイダ」が欧米の総称として用いてきた。だが、現在アル・カーイダと対立しているイスラム国の声明では、ほとんど使われていなかった。
イスラム国は、イラクとシリアの国境地帯に広がる実効支配地域の拡大を目指し、両国のシーア派系主導の政権を主要な敵とみなしてきた。しかし、オバマ政権がイラク北部で空爆を開始したのを受けて、アル・カーイダのように欧米の異教徒を敵視する姿勢を鮮明にしている。今後は欧米も攻撃対象とする路線へ傾斜していく可能性がある。(読売)
杜父魚文庫
16929 米「処刑映像は本物」…オバマ政権に揺さぶりか 古澤襄

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