16982 “謀反”に首相周辺激怒 「石破氏系」排除加速か     古澤襄

■内閣改造・党役員人事
安倍晋三首相が、自民党の石破茂幹事長への不信感を強めている。9月初旬に行う内閣改造・党役員人事をめぐり、ラジオ番組で公然と、安全保障法制担当相の辞退と、幹事長続投を要求したからだ。首相(党総裁)の人事権を収奪するような言動は、政権に対する「謀反」といってもいい。安倍首相周辺は「石破氏は、第1次安倍内閣や麻生太郎内閣でも倒閣運動を仕掛けた前科がある」と激怒し、警戒を強めている。
「安全保障や地方創生など日本を取り戻す第2章が始まるので、人心を一新したい」
安倍首相は26日午前、自民党本部での役員会に出席し、9月3日に内閣改造を実施する考えを正式に伝えた。隣には石破氏が座っていたが、2人の間には微妙な空気が流れていた。
それもそのはず、石破氏は前日、前代未聞の行動に打って出ていた。
石破氏は25日午後、TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」に出演し、安倍首相から打診された安保担当相について、「首相と考えが100%一緒の人が国会で答弁するのが、一番いい」と述べ、辞退する意向を明言した。さらに、「地方(の選挙)できちんと勝てるようにして初めて政権奪還が完成する」といい、幹事長続投まで希望したのだ。
先週末、新聞2紙が「石破氏、安保担当相を固辞」と報じたとき、安倍首相周辺は「条件闘争の情報戦ではないのか。側近が何度リークしても関係ない。石破氏が安倍首相と会ってどう語るかだ」と語っていた。
ところが、石破氏は安倍首相と会う前に、ラジオで公然と自身の人事について語ったわけだ。安保政策に対する違いから、自身が安保担当相として国会答弁に立てば、政策の違いを野党から追及され「国会が止まる」という懸念も披露していたが、官邸サイドはそう単純には受け止めない。

「石破氏が権力闘争を仕掛けてきた。企業の社長もそうだが、人事権こそが権力の源泉だ。役員や社員が『この仕事はやりたくないが、これはやりたい』などと言い出したら、組織は成り立たない。4~6月のGDP速報値が悪化したことや、内閣支持率の低下を見て、安倍政権と距離を置くつもりだろう」(官邸周辺)
石破氏の背後には「反安倍」の長老数人がおり、「安保担当相を受けるな」「次の目(=総理総裁)がないぞ」と促していたとされる。長老の数人は「親中派」「親韓派」として知られる。
安倍首相はこのため、安保担当相に、元防衛副大臣の江渡聡徳(えと・あきのり)衆院安全保障委員長を起用することで調整している。防衛相との兼務も検討している。外相については、北朝鮮による拉致被害者らの調査や、年末の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」再改定をにらみ、岸田文雄氏を留任させる方針だ。
このほかの人事でも、石破氏に近い「石破系」とされる議員を排除するか、数人を一本釣りすることも検討している。
そもそも、石破氏は集団的自衛権の行使容認の閣議決定への道筋を付けた与党協議のメンバーであり、安保政策の違いを持ち出すのはおかしい。また、少し前には石破氏周辺を通じて「どんなポストでも受ける」との意向が内々に伝えられていた。
「謀反」といえる石破氏の言動に、首相周辺では、石破氏の過去についても語られ始めた。
「石破氏は、第1次安倍内閣でも、党内から首相退陣を促した。麻生内閣では、現職の農水相だったのに『麻生降ろし』を念頭に置いた両院議員総会開催を呼び掛ける署名に応じた。安倍首相と麻生氏はこのことを忘れてはいない。自民党を捨てて出ていったこともある。政権復帰から1年8カ月、まだまだ仕事は山積しているのに、また党内混乱を引き起こす気なのか」(首相周辺)
実は、官邸では以前から、石破氏の幹事長としての手腕に不満を感じていた。衆院選や参院選、都知事選には勝ったが、「勝てる」としていた7月の滋賀県知事選を落とし、11月の沖縄県知事選の候補者調整も不調に終わったからだ。
今回の言動で、石破氏の幹事長留任もほぼなくなったといえる。ただ、来年秋の総裁選を考えると、安倍首相としては党内亀裂を放置することは得策ではない。安倍首相は「石破氏の乱」をどう鎮圧し、内閣や自民党を前進させていくのか。(夕刊フジ)
■自民党:石破氏が安保相辞退、首相周辺と神経戦に
自民党の石破茂幹事長は25日、9月の内閣改造・党役員人事の際、安全保障法制担当相への就任を辞退する意向を自ら表明した。石破氏側は、同氏が政権内で引き続き影響力を維持できるよう、幹事長続投に期待をかける。しかし、石破氏が「安保政策の違い」を理由にしたことに、安倍晋三首相周辺は「今さらそんなことを言っても通らない」と反発。首相と石破氏の会談は今週後半以降になる見通しで、双方の神経戦が続いている。
石破氏は25日、首相側近の萩生田光一・自民党総裁特別補佐と党本部で会談した。安保法制に関する考え方で首相と隔たりがあることなどを挙げ、担当相を受けない考えを伝えたとみられる。石破氏はその後のTBSラジオ番組で「首相と考え方が100%一緒の人」が適任との見解を示し、自身の就任を否定した。鴨下一郎幹事長特別補佐は24日、「石破氏の自説は首相官邸の進め方とは違う」と代弁していたが、石破氏が自ら発信した意味は大きい。
石破氏サイドは幹事長続投を第一目標にしつつ、同氏が無役になれば、来秋の党総裁選で首相の対抗勢力作りを目指す「両面待ち」の戦略を描く。事実上の「石破派」づくりを進める無派閥連絡会の代表世話人、小坂憲次元文部科学相は23日、「統一選の勝利が安定政権を作る。(石破氏は)幹事長をしっかりやりたいのが本当のところだ」と石破氏を援護射撃した。
これを受けて、石破氏は番組で来春の統一地方選の重要性を強調し、幹事長職にとどまりたい希望を隠さなかった。
人事構想の練り直しを迫られた形の首相側は神経をとがらせる。首相周辺は「政権復帰からわずか1年半で、『また党内の勢力争いか』と世間にあきれられる」と石破氏をけん制。7月の滋賀県知事選で自民、公明両党推薦候補が敗れたうえ、この先の福島県知事選や沖縄県知事選の候補者調整を巡って石破氏の手腕を疑問視する声が出始めており、「根本的な考え方が違うなら幹事長続投も難しい」という強硬論も広がっている。
一方、ある派閥幹部は「石破氏が無役になると、『今もめてはいけない』と自重してきた人たちが石破氏に結集しかねない」と、党内対立の表面化を懸念する。(毎日)
杜父魚文庫

コメント

  1. momo より:

    まだ毎日新聞があったのか。。。

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