17068 自民派閥で明暗 大躍進の大島派    古澤襄

■お通夜のような石原派… 改造一夜明け
内閣改造から一夜明けた4日、自民党各派は入閣を待望していた議員の“収支決算”に歓喜や悲嘆する光景がみられた。安倍晋三首相は、派閥トップとの距離感も考慮して入閣枠を調整したとみられ、今回の人事は、各派会長の求心力にも大きな影響を与えそうだ。(水内茂幸)
「私の初入閣を報道するテレビ画面に『大島派』のマークが出たのが、本当にありがたかった…」
女性活躍担当相に起用された有村治子氏は4日、大島派(番町政策研究所)会合で、同派会長の大島理森前副総裁を前に言葉を詰まらせた。
大島派では防衛相兼安全保障法制担当相として江渡聡徳(えと・あきのり)氏も初入閣。前会長、高村正彦副総裁の再任も踏まえれば、12人の小派閥で3つの重要ポストを獲得する大躍進となった。
首相周辺は「大島氏は、集団的自衛権をめぐる与党協議で『裏の交渉役』として汗をかき、首相が高く評価した」と重用の理由を打ち明ける。

第3派閥の岸田派(宏池会)は、会長の岸田文雄外相が留任し、事務総長の望月義夫氏が環境相に初入閣。望月氏は4日の同派会合で「『宏池会から』というのを決して忘れない」と述べ、岸田氏の後押しに感謝した。ただ、林芳正前農林水産相と小野寺五典(いつのり)前防衛相が閣内から去った。岸田氏にとっては「痛し痒(かゆ)し」といえそうだ。
第2派閥の額賀派(平成研究会)は、額賀福志郎元財務相が推薦した竹下亘氏が復興相、小渕優子氏が経済産業相にそれぞれ入閣。麻生派(為公会)も麻生太郎副総理兼財務相の強い推しで、山口俊一氏が沖縄北方担当相に起用された。二階派(志帥会)も、西川公也氏が念願だった農林水産相を射止め、二階俊博会長は総務会長に就いた。
逆に、お通夜のような雰囲気に包まれたのが、入閣ゼロだった石原派(近未来政治研究会)だ。会長の石原伸晃前環境相は4日の同派会合で、改造人事について触れなかった。石原氏は周囲に「首相はあまり話をきいてくれない」と愚痴をこぼしているという。
谷垣禎一幹事長のグループ(有隣会)は不穏な空気に包まれている。谷垣グループは遠藤利明元文部科学副大臣の初入閣を求めたが、見送られた。グループ幹部は「谷垣氏は三顧の礼で幹事長を頼まれたのだから、遠藤氏の処遇だけでもお願いできなかったのか」と不信感を募らせている。
首相の出身であり、最大派閥の町村派(清和政策研究会)は、会長の町村信孝元官房長官が宮路和明元厚生労働副大臣らの入閣を求めたが、かなわず、宮路氏は派閥幹部の前で涙を流したという。平成24年の党総裁選でそろって立候補し、ぎくしゃくした首相と町村氏の関係はいまだに暗い影を落としているようだ。
石破茂地方創生担当相に近い議員による「無派閥連絡会」は、石破氏を除く入閣がなかった。鳩山邦夫元総務相が主宰する「きさらぎ会」も、河井克行元法務副大臣らの起用が見送られた。(産経)
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